ビットコインの「フラッシュクラッシュ」とは──なぜ、急落したのか?
ビットコイン(BTC)は米東部時間12月11日朝に7.5%下落し、8月中旬以来最も急激な日中下落率を記録した。ビットコインはまだ年初から150%超の上昇となっているが、チャート上の大きな、突然の予期せぬ「赤いローソク足」は、時価総額最大の暗号資産(仮想通貨)ビットコインのボラティリティを改めて痛感させる。 先週は、ビットコインの行く手を阻むものはほとんどないように見え、長年の問題の多くが解決されたように思えた。なぜビットコインは下落したのだろう?
まずは価格上昇の理由から
そもそも、なぜ価格が上昇していたのかを考えた方がよいだろう。 例えば、最大かつ最も物議を醸す暗号資産取引所バイナンス(Binance)は、運営を継続するために、米当局に43億ドル(約6278億円、1ドル146円換算)の罰金を支払うことに合意した。「歴史的」に高額な罰金だが、生き延びることができそうだ。 この和解はまた、米証券取引委員会(SEC)がアメリカを拠点とする取引所コインベース(Coinbase)とクラーケン(Kraken)との間で行っている法廷闘争の解決にも光明を投じた。 全般的には、アメリカでの規制面の状況も改善されつつあるようだ。まだ「規制の明確化」には至っていないものの、有力議員たちから提案が行われ、今後の展開が期待される。 また、2024年に予定されているビットコインの「半減期」(新たに流通するビットコインの量を半分に減らすこと)や、SECがビットコインETF(上場投資信託)を承認する可能性など、予測可能な出来事もある。市場観測筋はこの2つのイベントを話題にしており、ETFは最近のビットコイン価格の主な原動力と言えるだろう。 次は、マクロ経済予測だ。ビットコインは、理論的には金(ゴールド)と同じように価値の保存手段として機能することから「デジタルゴールド」と呼ばれることもあり、現物の金と並んで上昇している。金先物は最近、インフレ懸念もあって、過去最高値を記録した。 米連邦準備制度理事会(FRB)が管理する金利は、インフレを抑制し、過熱した経済を冷やすための取り組みのために、21世紀に入って最高水準にある。多くの専門家はFRBの取り組みはまもなく終わると考えており、来年前半には金利を引き下げるかもしれないと言う人もいる。 金利の低下は、経済活動にとって良いことであるように、ビットコインにとっても良いことだ。金利の低下は、借り入れをより安くすることで「お金を安くする」ことであり、つまり、より多くのお金が出回ることを意味する。そして、金利が下がれば、投資に対する期待収益が下がるため、国債のような安全な投資の魅力が低下し、資本はリスクカーブを下がり、暗号資産のような資産クラスへと向かうことになる。