ビットコインの「フラッシュクラッシュ」とは──なぜ、急落したのか?
考えられる急落の要因
10日の夜の市場調整から始まった11日の「フラッシュクラッシュ(急落)」をどう説明すればよいのか私にはよくわからない。マラソン・デジタル(Marathon Digital)やライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)などの暗号資産関連銘柄は、ハイテク株の多いナスダックが上昇する勢いであるにもかかわらず、11日は2桁の下落となった。 デジタル資産ソリューションを手掛けるVDXのリサーチ責任者グレタ・ユアン(Greta Yuan)氏のように、多くの人がマクロ状況に注目した。8日には、予想を上回る雇用統計が発表され、ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス(Nick Timiraos)記者は、FRBは2024年に利下げを行うと予測している。この「微調整」は、「非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率が低下した」ことで説明できるとユアン氏は語った。 一方、デジタル資産運用会社Metalphaのシニアアナリスト、ルーシー・フー(Lucy Hu)氏は、これは「利益確定の合理的なプロセス」の一部の可能性があると語った。つまり、トレーダーは十分な利益をあげて現金化したということだ。 CoinDeskのオムカー・ゴッドボール(Omkar Godbole)記者は、暗号資産デリバティブの資金調達レートが「過熱」していると述べた。暗号資産デリバティブ市場におけるレバレッジの大きさは、市場の調整を引き起こした原因を説明できないかもしれないが、これほど早く、大きく下落する可能性を説明することに有用なことは確かだ。 ゴッドボール記者はまた、「過剰な強気レバレッジ」や「ロングポジションの過密化」といった表現も使った。
諸刃の剣
トレーダーがレバレッジをかけすぎている場合、彼らは実質的に、借りたお金を取引していることになる。つまり、実際には存在しない資本で資産価格をつり上げる手助けをしていることになり、価格が下落すれば、広範な市場にはるかに大きな影響を及ぼしながら、一掃(つまり清算)されることになる。レバレッジは、そうでなくなるまでは素晴らしいものだ。 価格下落はまた、良くも悪くも、レバレッジの額がより健全なものにリセットされたことを意味する。そして、読者の皆さんには、暗号資産では、特にすべてが自分に有利に動いているように見えるとき、価格はちょっとしたことで大きく揺れ動く可能性があるという教訓にしてほしい。正気を保ち、ボラティリティは諸刃の剣であることを認識しよう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:Explaining Bitcoin’s ‘Flash Crash’
CoinDesk Japan 編集部