五輪エンブレム撤回 会見(3)ネット社会でデザインの独自性確保は難しい
国際的な信用を失墜させていることをどう考える?
司会:それでは真ん中の方。 共同通信:共同通信のハセガワと申します。武藤事務総長におうかがいしたいんですが、まずちょっと確認なんですが、展開例の羽田空港と渋谷駅前に展開されてるような画像を流用されてるというような指摘がなされたというふうにおっしゃっていたんですが、これは佐野さん自身が、確認なんですが、まず流用したというふうに認めているのか。あと、その理由についてはなんというふうに言っているのかということをお聞きした上で、国民の理解が得られなくなったというふうなお話があったと思うんですが、国民の理解を得られなくなった理由に、ベルギーとの訴訟うんぬんは別として、サントリーの商品を模倣、佐野さん自身が認めたり、今回の展開例の件でもほかの人のサイトを流用したというような、デザイナーとしての姿勢みたいなものに対して疑惑の目というか疑念の目が持たれたというのが1つ大きな要因ではないかと思うんですが、この点についてはどういうふうに受け止められていますでしょうか。 武藤:まず、あの展開例の流用は佐野さんは認めておられて、それの原作者にすでにアプローチをしたということであります。当初、この展開例を示したのは審査委員会の場でありました。審査委員会の人たちによると、そういうクローズドな場ではよくある話で、そのこと自身は別に問題ではない。しかしそれを一般に公表するということになると、その権利者の了解なり、なんか経済的な対応をするべきものであるということであります。それを怠ったというのは、佐野さんも自分としてはミスだったということを認めております。 組織委員会が7月の24日にそれを使ったわけですので、われわれももうちょっと、これは本当に権利処理がなされていますかということを聞くべきであったのではないかと言われれば、それはそういう面ではわれわれにもミスがあったかもしれません。しかしそのミスコミュニケーションで、7月24日にそういうことになると、8月28日の段階ではもういったん公表されたものですから、あまり疑念なくそれを使ったというのが経緯であります。流用を本人も認めているということであります。 サントリーについては、これは私どもは関知するものではありません。組織委員会のロゴとなんの関係もないことであります。加えて佐野さんはご承知のように説明をされて、われわれはそれを聞いたということであります。 29日から30日にかけてのその問題は、いずれもわれわれのエンブレムに関する問題であります。確かに日曜日の原案というものが一番大きな影響を与えましたけれども、土曜日のその展開例についても、きちっと処理がされてないということは、これはやはり適切なことではなかったというふうに思っておりますので、この2つともにわれわれが事態を深刻に受け止めた理由であるというふうに思います。 司会:次の質問。こちらの列の一番前の方。手上げてください。はい、そのまま。 朝日新聞:朝日新聞のウシオと申します。ここまで事態が混乱したことと、あと、国民の理解が得られなかったのは一番何が原因だと思っていらっしゃいますでしょうか。 武藤:まず当初は、私は話していけば分かると。なぜなら、今ご説明していたようなオリジナリティーがあるということだからであります。訴訟手続き上の、訴訟になったので、訴訟の結論を言うことはできないんですけども、その上であえて申し上げれば、われわれはちゃんと説明ができると思いましたし、われわればかりじゃなくて、IOCと共に連携を密にした上でそういうことを申し上げているわけであります。ですからまさにこの土、日のことがやっぱり最大の問題であったと私は思っております。 司会:眼鏡掛けた、はい、そのまま手を上げてください。 読売新聞:すいません、読売新聞のキラと申します。今回、いろいろと縷々、状況を説明されたんですけれども、今回いったい誰に責任があって、その責任をいったいどういう形で取っていくのでしょうか。それともう1つは、それだけ国際的に信用を失墜させていると。この件についてどのようにお考えでしょうか。 武藤:この問題は、関係者三者三様にそれぞれ責任があると思いますけれども、われわれは事態の状況を見極めた上できちっと対処して、新しいものをつくっていくということがわれわれの責任であるというふうに思っております。佐野さんは、これはご自身は盗用、盗作したことはないと、模倣したことはないという具合に明言されておりますので、私はそれはそれでデザイナーとしてのお立場を理解いたしますけれども、その上で取り下げるという決断をされたということをもって、佐野さんは佐野さんとして責任を果たされたのではないかというふうに思います。審査委員会はこれを、佐野さんのエンブレムを一番優れたものとして推奨していただいたわけですけれども、最終的にはそれを取り下げるということはやむを得ないと。そのデザインとしての問題に加えて、やはりオリンピックエンブレムが国民に愛されたものでなければならないということは理解いたします、という形で決断をいただいたということではないかというふうに思います。 読売新聞:国際的な信用の失墜については。 武藤:国際的信用を失墜したというのは、これはもちろん、この問題が国際的にある程度影響しているというふうに思いますけれども、これを長く続けていくことのほうが、私どもはもはや適切でないと、国際的信用を失墜してしまうので、むしろ新たなものを作って、そういう決断をしていくということによってご理解を得ていきたいと。IOCもそれはサポートしてくれるということでございますので、そういう形でわれわれの信用を確立していきたいというふうに思っております。 読売新聞:もう1つだけ。これだけ。 司会:連続はご遠慮願えますか。じゃあ一番後ろの方。