五輪エンブレム撤回 会見(3)ネット社会でデザインの独自性確保は難しい
新しいエンブレムを決めるまでに時間制限はある?
司会:できるだけ多くの方にご質問いただきたいと思いますので、同じ趣旨のご質問は避けていただければと思います。じゃあ同じ、この列から。最初から上げてます女性の方。その方です。はい。 朝日新聞:朝日新聞のマルヤマといいます。今日の話し合いの中で、佐野さんが自ら取り下げたという話というふうに受け取っているんですけれども、原作者だから取り下げるうんぬんというご説明もされました。これは佐野さんが本当にご自身で取り下げますとおっしゃったのか、それとも周りの方から、同席した方から取り下げられますよというふうに水を向けられたのか、どういう話し合いだったのかもう少し具体的に教えていただけますでしょうか。 武藤:結論はですね、佐野さんが自ら取り下げるというふうにおっしゃいました。そのときに、なぜ取り下げるのかということについて、模倣だから取り下げるというふうに自分はまったく考えていないので、その点をはっきりしてほしいと。しかし、先ほど来、申し上げているような、一般国民、世論のサポートを得られない状況から取り下げたほうがいいと自分は判断しましたと、そういうことであります。 その判断をわれわれは、もちろんそういう、どうすべきかという議論をしてますので、それぞれ考えてることが何かっていうことは分かると思いますので、その話を前提に三者で取り下げが適当という結論になったと。最終的にはそういう形でございますけども、最初に取り下げという言葉をお話しになったのは佐野さんであるということであります。 司会:じゃあ後ろの立ってらっしゃる。 イタル・タス通信:ロシア、イタル・タス通信社のビラエフと申します。質問させていただきます。新しいエンブレムを決める時間制限があるのでしょうか。今年中、発表される可能性があるのでしょうか。それともこれから新しいエンブレムをつくる、時間かかりそうなんですけれども、その間に東京オリンピック、画像的なイメージはどうなりますか。どういうふうに表現されますか。 武藤:できるだけ早く新しいエンブレムをつくりたいと申し上げました。それが何月かっていうのは今の時点では申し上げるだけの中身がありません。といいますのは、今回もそうだったんですけれども、決めたあと、そういういろいろな検索にかけるわけですね。これは時間が、われわれが期待した中で収まるというものではなくて、必要な時間がどうしてもかかる。従って、できるだけ早くというわれわれは気持ちを持っておりますけれども、いつまでにということを申し上げることは、現時点ではできません。 その間、もちろん新しいエンブレムがないということに対してどう考えるかということは、私も同様に懸念を持っています。ですからできるだけ早くつくりたいということであります。今までの、これだけの批判のあるものを使い続けて、何かいいことがあるかということと両方考え合わせると、その新しいものをつくる期間、新しいエンブレムがないということは、これはやむを得ないことだと。もちろんスポンサーの方々はJOCとJPCのエンブレムはジョイントマーケティングでありますので、使うことができます。 われわれは今まで招致のときのエンブレムを使っておりました。新しいものができてあれは使わなくなったんでございますけれども、取り下げた結果、当面、われわれとしては招致のときのエンブレムを使うことは十分可能だというふうに思っています。 司会:時間もだいぶオーバーしておりますけども、今手を上げていらっしゃる方だけに制限させてよろしいでしょうか。この列の一番、2番目の男性の方。眼鏡の方。はい。 毎日新聞:毎日新聞のイイヤマと申します。ちょっと手短に聞けることなんで2点なんですけれども、パラリンピックのエンブレムも撤回ということでよろしいか。あと、過去にこういうエンブレムの中止みたいなのは、オリンピックの歴史であるのかどうか。 武藤:パラリンピックも撤回します。というのはもうワンセットですから。それから、過去にそういうことがあったかどうかというのは、今の状況で私どもは存じ上げておりません。 司会:それでは後ろの立っていらっしゃる白いシャツの方。 共同通信:共同通信のタカミと申します。新しいエンブレムなんですけれども、方法としては次点のもの、あるいは残っているもので選ぶという手もあると思うんですけれども、それをしないというのは、今回の審査の過程が国民の支持を得られていないというふうに判断したからなのでしょうか。それを考えると、許可を取った上で次点とか3位の作品を公開するというのも、審査が正しく行われましたよということを論証する1つの手段であるとは思うんですけれども、この辺はどうお考えですか。 武藤:今回の佐野さんの決定のときにいくつか上のほうに残ったものを対象にしたらいいではないかというのは、1つのお考えだと思います。ただ、われわれはもう1回、全面的に公募をやり直したほうがいいのかなと現時点では考えております。 それからまた、前回応募した人たちは同じものを応募していただければいいわけで、そういう意味ではまったく新たにやり直すほうがいいのではないかというふうに思います。決して前回に問題があったから前回のものを採らないという、そういうことではありません。前回の人たちを発表したらどうかということになると、先ほど申し上げたとおり、発表した途端に、じゃあ誰かが悪意で商標登録しちゃったらどうなんだ、といったような問題をわれわれはクリアできないので、ものを発表するということは、著作権者がそれでもいいと言えばもちろん考えられるのかもしれませんけども、一般的にはそういう応募作品について、当選しないものを公表するっていうのは、通常はすべきでないというふうに思っております。 <(4完)に続く>