棋士コンビでM-1に出場して…「だからこそ将棋の成績を残さないといけない」という思いを強めたワケ
師匠譲りのスーパー四間飛車、と言われるようにもなりたい
――一番影響を受けた振り飛車党の棋士を挙げるとするならば? 冨田 一番というと難しいですね。まず御三家の先輩(藤井猛九段、久保利明九段、鈴木大介九段)がいるじゃないですか。皆さんの棋譜をたくさん並べて、それぞれのいいところを真似しようかと。奨励会時代は菅井さんの記録を一番取っていました。あとは大山先生(康晴十五世名人)の全集も並べましたね。自分は受け将棋だと思っていますが、大山先生の手厚い受けにはかなり影響されました。もちろん四間飛車に愛着があるので、師匠譲りのスーパー四間飛車と言われるようにもなりたいです。 ただ昔と比べるとそこまで振り飛車にこだわる気持ちはなくなっています。以前はここ一番は四間飛車と考えていましたが、最近はそうでもありません。四段昇段の一局も居飛車でした。もっともこれは相手が振り飛車だったこともあります。その時に一番勝率の高い作戦を選ぶこともありますが、私は振り飛車党というよりは、対抗形党なんです。 ――近い世代の関西棋士についてはいかがでしょうか。 冨田 注目はしていますね。子どものころからの付き合いとなる人が多くて、古森君や黒田君は友人の延長という感じです。あと最近は服部君の将棋は見ています。彼が勝っていると自分も頑張ります。やっぱり、お互いに勝っていた方が、漫才の仕事などでも機嫌よく向き合えますから。服部君とタイトル戦の挑決を戦った出口君(22年の第7期叡王戦)は小学2年の頃からの知り合いで、お互いの実家を行き来していました。出口―服部の挑決となったことで、どちらがタイトルへ挑戦しても遠くに行ってしまうなと思い、挑決当日はサウナに籠って、リアルタイムで将棋をみないようにしていました。
趣味はサウナ通い?
――以前、別の対局で冨田さんに取材した時も、その後にサウナへ行くとおっしゃっていた記憶があります。サウナ通いは趣味なのでしょうか。 冨田 趣味と言えるものがあまりなく、サウナ通いとそれに合わせた旅行くらいですかね。体を動かすのは好きなので、ジムには行っていますけど。こだわりがあまりないので、誘われたら何かをするという感じです。こんなこと言っていいのかどうかはわかりませんけど、棋士になってよかったなと思うことの一つは、普及などの仕事であちこちへ行けることです。 ――それくらいは言ってもいいでしょう(笑)。特に印象に残る場所などはありますか。 冨田 仕事ですと、棋士になる前ですが、2018年の竜王戦第6局で記録係を務めた鹿児島の指宿ですね。その一局で副立会人を務められたのが佐々木勇気さん(八段)で、その時からお世話になっています。今期の竜王戦七番勝負では第6局の指宿があれば行きたいですね。