香港から逆輸入! 知的好奇心がくすぐられる未体験の味が楽しめる〈CENSU TOKYO〉
ジュワッと体の隅々に広がる幸せ。本当においしい料理を口にした時にだけ味わえるこの感覚は、けっして価格や食材の良し悪しだけではなく、作り手が歩んできたヒストリーや、その中で醸成されてきた料理への想いが生み出しうるもの。様々な視点から“おいしいをデザインする”星子莉奈さんが、“おいしい”の先を求めて、極上の料理と作り手の素顔に迫ります。今回は外苑前にある〈CENSU TOKYO〉にお邪魔しました。
2023年7月にオープンした香港で人気のレストラン〈CENSU(センス)〉の姉妹店〈CENSU TOKYO(センス トーキョー)〉は、日本の居酒屋カルチャーをよりクールに、そして自由に編集した一軒。
フレンチで腕を磨いたシェフが作る和洋中を重ねたクリエティブな料理が瞬く間にフーディーの間で話題となりました。今回はオーナーシェフの金須郁幸さんに人気の秘密や一皿に込められたストーリーを伺います。
食の不可欠さを痛感して料理の道へ
東日本大震災をきっかけに料理人を目指すことになったと話す金須さん。 「出身地の宮城で震災を経験し、“食”の大切さを痛感しました。食は人を守り、幸せにする。そのパワーを目の当たりにして、料理人になることを決めました」。
高校卒業後は夢を叶えるべく調理学校へ入学し、名門〈タテルヨシノ〉へと就職。 その後、同郷出身で幼い頃から兄貴分のように慕っていた佐藤峻さんから「香港でお店を立ち上げるから一緒にやらないか」と連絡をもらい、二つ返事で引き受け香港へと向かったと言います。 現地では〈CENSU〉の前身にあたる〈FUKURO〉というお店の立ち上げに携わりながら、ベトナムレストランでも仕事をしていたんだそう。 「言語の壁にぶつかってしんどい時もありましたが、シェフ達が優しく接してくれたおかげで救われました。それから、フレンチ以外の料理を新たに学べたことも大きかったですね。今の料理にもこの頃の経験が生きています」。と、当時を振り返りながら語ってくれました。