勝負は「No.2」で決まる? 庶民派VSエリート? 2人の副大統領候補 ウォルズ氏とバンス氏の“違い”を分析
21日に行われた民主党の党大会、副大統領候補に指名されたミネソタ州知事のティム・ウォルズ氏は満員の会場を沸かせた。 【映像】娘と絶叫マシンに乗り大爆笑するウォルズ氏 全国的な知名度はほとんどなかったウォルズ氏を一躍有名にしたのがトランプ氏と共和党副大統領候補のバンス氏への歯に衣着せぬ物言いだった。 「小さな町で育った多くの人と同じように、バンス氏はイエール大に進学した。シリコンバレーの大金持ちに金を出してもらってキャリアを積み、小さな町をバカにした本を書いた。アメリカの田舎はそんなんじゃないだろう? 彼とディベートするのが待ちきれないね」 「トランプ政権下で凶悪犯罪が増加したんだ。彼の罪は数にカウントされてなくても、だ」 こうした鋭いトランプ陣営批判に加えてウケているのが、SNS上で見せる表情だ。娘と絶叫マシンを楽しむ様子をSNSに掲載したり、ハリス氏との選挙活動中に自撮りを何度も撮影するなど、底抜けに明るい人柄がSNSでたちまち大人気に。ティム・ウォルズという自分の名前にかけたオヤジギャグでTikTokデビューも果たした。 ちなみに、ウォルズ氏は副大統領候補に決まったという連絡をハリス氏からの電話だと気づかず、留守電で応答してしまううっかりミスもあった。 アメリカメディアが“happy-go-lucky guy(楽天的な人)”とも表現されるウォルズ氏。彼とカマラ氏が醸し出す「陽」の空気が支持を後押ししているのではないかと分析されている。この先もこの空気感を保てるのか、全世界の注目が集まっている。
ウォルズ氏について、アメリカ現代政治外交が専門の前嶋和弘教授は「ハリス氏がカリフォルニア出身の女性で人種マイノリティ、対してウォルズ氏は中西部出身の白人男性とバランスをとった形。ウォルズ氏は元高校教師で庶民的で一般的な人という感じだが、田舎の小さな学校のアメフトチームを強くしたというストーリーも持っている。対して、共和党のバンス氏もオハイオ州という中西部出身で貧しい家庭からエリートになった。そんなバンス氏の方は“トランプ氏そっくり”でアメリカファーストを打ち出している」と説明した。 そんなバンス氏は2021年の“キャット・レディー”という発言が現在炎上している。 この炎上について前嶋氏は「これは日本語では『子なしの猫好き女性』などと訳される。実はかなり差別的な発言で、『他の人と関係をもたず、猫と共にゴミ屋敷のような家に住んでいる』というニュアンスだ。子どもがいない人についてのこの発言には共和党の一部でなんなんだと言う人はいるが、男と女の結婚だから『子どもはいるべきでしょ』と思っている共和党支持者もいるので、むしろ『良く言った』と肯定している人もいる。現在は分断の時代であり、右でも左でもない“真ん中”にいる人が少ない。そのため、多少の失言があっても共和党の人は共和党に、民主党の人は民主党に投票する」と解説した。 現在、ハリス氏とトランプ氏は僅差だが、今後どうなるのか? 「これだけ僅差はアメリカの歴史上でもほとんどなく、さらに分断も同時に起きているため“ちょっとしたこと”が大きな影響を与えるだろう。例えば、2016年にトランプ氏が勝利した時には選挙前にヒラリー氏に対する『メール問題の再捜査』が明暗を分け、12年はオバマ氏のハリケーン被災地視察が決め手になった。今後も注視したい」 (『ABEMAヒルズ』より)