発達障害がある夫との関係で、カサンドラ症候群に陥った私の心を軽くした「楽になれる考え方」5選
いざとなったら逃げたっていい(……という隠し玉を持つ)
最後に、「逃げる」ことについて書きます。「逃げる」というと、離婚や離職を連想する人が多いと思いますが、それだけの意味ではありません。「逃げる」という最終手段を胸のなかに隠し持っておき、それを心の支えにしよう、ということです。 たとえば「あの人」との離婚が頭をよぎったとします。ものすごく大きな決断ですから、すぐ実行には移せないでしょう。だったら離婚は最終手段として秘めておいて、いまの生活を捨てた場合どうなるのか調べてみたり、将来のことを少し考えて紙に書きだしてみたりするわけです。 そうすると、“離婚は無理だけど、家庭内で「あの人」と距離をとることはできるかも”みたいに、何か見つかります。そうしたら、その見つかったことを実行するための方法を考えてみる。そんな「隠し玉」が自分のなかにあるだけで、少し光が差し込むのではないか、と思っています。 以上、6回にわたってノウハウや心得など、いろいろなことを書いてきましたが、それらはすべて、私にとっての「あの人」であるアキラさんとの生活のなかでみつけたことや、発達障害の専門家への取材から学んだことのエッセンスです。 今は発達障害とともに、「カサンドラ」という状態も広く知られるようになり、「私も」と声をあげる人が増えましたし、役に立ちそうな情報も増えてきたように思います。私の本も情報源のひとつになると思います。 いま、まさに疲れ切って苦しい思いをしている方に、そんないろんな情報のなかから役に立つことが1つでも伝わって、力になることを祈っています。 *この記事は2024年9月29日に東京メンタルヘルススクエア主催で行われた講演をもとに構成しました。
野波 ツナ(漫画家)