相場がどこまで下がり、どこから買い戻せばよいかを自分で判断する方法を1つ紹介します。
「テクニカル分析」という言葉を聞いたことはありますか? 投資初心者でテクニカル分析に興味を持っている方は少ないかもしれませんが、テクニカル分析によるアプローチは、投資初心者といえども、知っておいて無駄にはならないでしょう。 そこで今回は、相場の下落局面が終わった可能性が高い、「下げ止まり」の確認方法について、一緒に学習していきたいと思います。2024年4月に発生したS&P500の下落局面を例に、説明します。
どこで下げ止まるかは誰にも分からない
下のチャートは、アメリカの株式インデックスである「S&P500」の日足チャートです。日足は1日ごとの値動きを示すものですが、S&P500は2023年10月27日から2024年3月28日にかけて上昇局面だったことが分かります。 その後、下落局面(それまでの上昇を修正するような場面として「調整局面」ともいいます)が続き、2024年4月19日に下値をつけ、反転上昇していきました。
<図表 S&P500(日足)> ※TradingView提供(解説を目的に使用しております) 結果から見れば、2024年4月19日の下値が「底値」になったといえます。しかし4月19日時点では、この時点が下値であり、また、底値になるかどうかは誰にも分かりません。 ここからさらに下がる可能性はもちろんあるため、テクニカル分析上、「ここから積極的に買い上がっていく」という判断をするのはなかなか難しいでしょう。
「下げ」の目途を探る方法
時を少しさかのぼり、S&P500が2024年3月28日に着けた天井に目を移します。ここから下落局面が続いたわけですが、天井を打った後、どこが「下値」となる可能性があるのかを模索します。 今回はチャート上で示した、比較的簡単な方法である、「単純移動平均線(過去の一定期間における終値の平均値を示した線)」と「フィボナッチ・リトレースメント(フィボナッチ級数から導き出される黄金比に位置する価格や値を示すために用いられるテクニカルツール)」を使います。 単純移動平均線を活用する場合、天井からの「下げ」の目途は、チャートに引いてある50日単純移動平均線、100日単純移動平均線、200日単純移動平均線のそれぞれに、ローソク足がクロスする辺りになると仮定します。 フィボナッチ・リトレースメントを活用する場合は、黄金比である0.236、0.382、0.5、0.618、0.786、1.000を下値の水準としてリストアップしていきます。 話をチャートに戻しましょう。2024年4月19日、S&P500は節目である5000ポイントを下回りました。この水準は、100日単純移動平均線と交わるところに位置し、また、フィボナッチ・リトレースメントでは0.5(半値戻し)の水準です。 ここで下値をつけた可能性が高いと判断することもできますが、この水準では、まだ「ここが下値である」と精度を伴って確定することはできません。 なぜならば、その下に200日単純移動平均線と黄金比0.618、0.786、1.000が控えているからです。つまり、「この水準ではまだ下がる可能性がある」ということを念頭に置く必要があります。 このようなことから、たとえこの水準が結果的に「下値」になったとしても、この時点では積極的に買い向かわない、というのがテクニカル分析上の判断になります。