「金持ち農家」は”みんなと同じもの”を作り、「貧乏農家」はコロコロ変える…その「意外なワケ」
メインとなる品目だけを極めたほうがいい
とはいえ、これまで多くの農家がいろいろな品目に手を出してきたことも確かです。いろいろな品目に手を出してもうまくいくやり方はあるのでしょうか? まずメインとなる品目がしっかりしていて、収益が取れていることが前提です。その上で、やってみたいという気持ちや地域で生産振興している品目だからという理由でチャレンジしている方も多いようです。 しかし、結局、片手間で手を出した品目は長続きせずに、メインとなる品目だけを極めていく金持ち農家が多いのが私の印象です。 宮崎県にある私の実家も、菊をメインに、ストックやスターチスなどを生産していました。ひまわりを育てていたこともあります。確か、1年でやめていたように思います。気がついたら結局、菊だけになっていました。 近年では、ラナンキュラスにも挑戦していたようです。宮崎県が振興品目として助成などもしていました。しかし数年でやめて、結局は菊だけに戻っています。私の実家のような経験は、どの農家にもあるのではないでしょうか。 社会の変化に乗って、生産品目を変えるのもひとつのやり方ですが、農業において、需要がなくなる品目はほとんどありません。結果的に、生産する品目の生産技術を極めていくことのほうが、金持ち農家への近道になります。
高津佐 和宏(合同会社アグリビジネスパートナーズ代表社員/農業経営コンサルタント)