会員制ファッションアプリ「マイル」始動。モバイルは ラグジュアリー のオフプライスショッピングをどう変えるのか?
記事のポイント オフプライス市場は、価格だけでなく商品の価値やストーリーを重視する消費者に応える形で変化している。 ファッションアプリ「マイル」は、特定の商品やブランドを選べるパーソナライズされた体験を提供し、会員限定の有料アプリとしてローンチされた。 「マイル」は在庫購入と委託販売を組み合わせたモデルで、100以上のブランドと提携し、商品範囲を広げている。
パーソナライズ化にフォーカスした新ビジネスモデル
ウィルキンソン氏と共同創業者のマリオ・マーハー氏は、2019年末にヒートを立ち上げ、この市場に参入した。そのビジネスモデルは、パンデミック中に人気が高まったラグジュアリーストリートウェアを詰めたミステリーボックスのキュレーションを中心としている。「オーバーサイズがはやったおかげで、サイズ選びが柔軟になり、ボックスのキュレーションが容易になった」とウィルキンソン氏は語った。これまでにヒートは5万個以上のミステリーボックスを販売している。 しかし、ファッションのトレンドが進化するにつれ、ウィルキンソン氏とマーハー氏はミステリーボックスモデルには限界があると気づいた。そこで、消費者の好みの変化に合わせて新しいビジネスを立ち上げた。 「顧客ベースが成熟するにしたがい、顧客は特定のアイテムやブランドを選びたがるようになった」とウィルキンソン氏は述べた。これが、よりパーソナライズされ、キュレーションされたショッピング体験を提供する会員専用アプリであるマイルの開発につながった。会費は、受け取る商品の数に応じて月額10ドルから100ドル(約1580円から1万5800円)である。 「特別感と在庫過剰商品に対する認識を高めるために、有料会員のみがアクセスできるように設計した。重要なのはシーズンではなくキュレーションだ」と同氏は述べている。 会員制アプリ「マイル」
マーケットプレイスとのハイブリッドなアプローチ
モバイルアプリにフォーカスするという決定は、ヒートのトラフィックの98%がモバイルからだというデータに基づいている。「若い消費者は常にモバイルデバイスを使っていて、高品質で一貫性のある体験は専用アプリを通じてのみ提供できると考えた。最高レベルの体験を提供するために、大手小売業者のエンジニアとアーキテクトを集めてチームを結成した」とウィルキンソン氏は語った。そのなかには、スニーカー会社のスタジアムグッズ(Stadium Goods)でテクノロジー担当シニアバイスプレジデントを務めていたマン・ホアン氏もいる。 マイルのビジネスモデルには、ラグジュアリーブランドからの在庫購入と製品の委託販売の両方が含まれている。「ニュージャージー、オランダ、英国に倉庫があり、委託販売の製品はそこに保管され、売れたときに出荷される。このモデルにより、迅速に規模を拡大し、顧客体験をコントロールし続けることができる」とウィルキンソン氏は述べた。さらに、マイルにはマーケットプレイス機能もあり、認証済みのパートナーはアプリ上で製品を登録し、提供された配送ラベルを使用して顧客に直接出荷することができる。「このハイブリッドアプローチは、従来の小売モデルと現代のマーケットプレイスモデルの最高の要素を組み合わせたもので、信頼性と品質を保証できる」と同氏は言う。 ブランドパートナーシップは、マイルの戦略の重要な要素だ。「当社はかねてから、ファッション業界と製品を大切にしていることを示してきた。だから、ランウェイのアイテムから未発表のコレクションまで、素晴らしいアイテムを扱える」とウィルキンソン氏は語った。マイルはすでに100を超えるブランドパートナーと強力な関係を築いており、取り扱うアイテムの範囲を大きく広げている。 マイルはすでに3000人以上のユーザーをテストグループとして獲得している(2024年6月時点)。ウィルキンソン氏によると、メンバーシップと販売を通じてすでにかなりの収益を上げているという。「このローンチ前のフェーズでアプリを改良したので、実稼働の開始時から優れたサービスを提供することができている」と同氏は述べた。 [原文:Is off-price luxury shopping getting a mobile upgrade?] ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子) Image via Mile
編集部