レアードの暴言退場で深まる白井審判とロッテの“遺恨“…今解決すべき問題は何か?
白井球審は、ロッテにとって因縁の相手。4月24日の同じく京セラドーム大阪でのオリックス戦で佐々木朗希が判定に対して浮かべた苦笑いと数歩マウンドを降りた行為が不服を示した態度と判断され、白井球審がマウンドに詰め寄るという騒動があった。 後日、この問題については、NPBが審判員全員とミーティングを開き、審判の行動規範を改めて確認している。 さらに前日のゲームでは、ロッテが0-1で迎えた9回二死一、二塁、フルカウントからエチェバリアが見逃しの三振に倒れ、その際、エチェバリアが猛烈に判定に抗議。井口監督もベンチを出たが、福家球審が、それを制したにもかかわらず、さらに球審に近づいたため、これを警告を無視した審判に対する異議を唱える行為と取られて退場処分となっていた。 この時、レアードも同僚を援護するため、もの凄い口調で審判団に不満をぶつけていた。エチェバリアの怒りの抗議は、この日のレアードとは比べものにならないくらいに激しかったが、なぜか本人は退場にはならず、退場になったのは警告をふりきって審判団に近づこうとした井口監督だけ。そして、まるでそれらのすべてが伏線となったようなこの日のレアードの退場劇に、ネット上では、賛否の意見が飛び交った。 「暴言を吐けば、退場は当然。ルールに従っただけ。白井球審の判断は正しい」「ロッテ側が神経質になりすぎているのでは?」という声や「白井球審ばかりトラブルが起きるのはなぜ?」「前日の抗議への報復では」「白井審判は意固地になっている」「なぜロッテと問題を起こした白井審判に再度球審をさせたのか」などの意見。 また「ロッテと白井審判の間の信頼関係がなくなり、リスペクトがない状態でフェアなプレーは難しい」や「なぜ両者は冷静になれないのか」「もうストライク、ボールの判定にはAIを導入するしかないのでは?」という意見まであった。
白井審判を中心とした審判団と、ロッテの間に不穏な空気が流れていることは間違いない。広島、ロッテ、中日、阪神などで長年コーチを務め、WBCに出場した日本代表チームでのコーチ経験もある評論家の高代延博氏も苦言を呈する。 「ストライク、ボールへの抗議は認められておらず、レアードがどんな暴言を発したのかわからないので、この措置の是非についてはコメントできないが、佐々木朗希の騒動から、井口監督の退場という一連の動きが背景にあるため、審判とロッテの両者共に必要以上に過敏になっているなとは感じる。ルールブックは絶対であり、その番人である審判もまた絶対だが、その審判が、こうも主役になってしまうのは異常だし、ファンは審判とロッテの“いざこざ“を見るために球場に足を運んでくれているわけではない。野球の素晴らしいプレーを見たいのだ」 その上で、高代氏は「大事なのは今後だ」と強調して、こう提言した。 「早急に白井審判も含めた審判部とロッテで話し合いの場を持つべきだと思う。冷静に、ここまでの3つの案件を両者で検証して、互いに思っている意見を出し合って、和解ではないが、遺恨、因縁というものを消し去る作業が必要ではないか。昔から審判とのいさかいというものはあるが、両者ともに終わったことへの切り替えは早かった。両者は敵ではなく、野球界を発展させるために共存共栄していかねばならない運命共同体。そこを確認する作業を共にして両者に失われつつある信頼関係を回復すべきだろう」 ロッテは審判という“もうひとつの敵“と戦うはめになって2連敗。こういう騒動が続けておきて誰も得するものはいない。何よりファンを置き去りにしている騒動であることを白井審判もロッテ側も自覚して、高代氏が提言するように信頼関係を回復する場が必要かもしれない。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)