「自公過半数割れ」になったときに、石破首相が“政権維持のため”繰り出す「意外すぎる一手」3つの想定シナリオ
世論に重きを置く首相が思い描く「衆参ダブル選」のシナリオ
では、不安定化が避けられない状況に追い込まれる石破氏は、どのように事態を打開するのか。考えられるのは「総括」と「賭け」だ。石破氏は今回の衆院選で旧安倍派議員を中心に「非公認・比例重複なし」という措置をとった。ただ、自民党としては4月に党員資格停止や役職停止などの処分を決定しており、党内には「岸田文雄首相から党総裁が交代したからといって、二重処分となるのは理解できない」との反発がある。 ただ、自民党内よりも世論に重きを置く石破氏は10月9日の党首討論で、来年夏の参院選での対応に関し「同じ国会議員であるので、衆議院と参議院で違う対応にすることはない」と断言した。つまり、今回の衆院選と同様に「非公認・比例重複なし」という措置を講じる考えなのだ。 石破氏のこうした方針から見えるのは、党内処分だけでなく「選挙での総括」が欠かせないとの思いだろう。現時点で不記載問題に関する再調査の実施には慎重姿勢を崩していないが、もし「選挙での総括」を今後も重視するならば、不記載問題で新たな事実が発覚した場合に“賭け”に出る可能性も捨てきれない。 それは、来年夏の参院選に合わせて衆院を再び解散する「衆参ダブル選」という一手だ。石破氏がすでに断言した参院選における「非公認・比例重複なし」という措置をにらめば、今回の衆院選のように石破氏に対して憎悪を抱く人々がさらに生じることは想像に難くない。旧安倍派を中心に衆参の自民党議員の多くが「石破おろし」に向かえば、参院選前に首相の座から引きずり下ろされるリスクは高まる。 その前に不記載問題に関する再調査を実施し、もしも新たな結果が得られたならば「信を問う」と衆院を解散すれば、衆参ダブル選挙によって首相は求心力が高まるとの読みが働くかもしれない。現在の小選挙区比例代表並立制の下では公認権を持つ自民党総裁の力は強力で、短期間に2度の衆院選が行われれば多くの議員は疲弊する。もちろん、解散権の乱用と批判を浴びることは間違いないが、野党からの内閣不信任決議案提出などを機に首相が“賭け”に出る可能性はゼロとは言えないだろう。 3つ目は、今回の衆院選で自民党が単独過半数を維持した場合だ。