「自公過半数割れ」になったときに、石破首相が“政権維持のため”繰り出す「意外すぎる一手」3つの想定シナリオ
旧安倍派を中心とした「石破おろし」
当時とは政治状況が異なるものの、今回の衆院選で仮に与党が過半数割れを起こすことがあれば、自民党としては日本維新の会や国民民主党などとの“共闘”を狙うことは想像に難くない。それは議席数のマイナス幅によっても異なるだろうが、自民党が「政権与党の座」に執着を燃やすことは歴史が証明している。 だが、維新や国民民主が自民党サイドの手に思うように乗ってくれる保証は全くない。野党は野党での非自民政権樹立を模索するはずだ。ただ、いずれにせよ石破政権は衆院選で与党での過半数を確保できなければ終幕することになる。このシナリオでの石破氏の「次の手」はないと言える。 2つ目は、主要メディアの情勢分析通り「与党での過半数」を上回った場合だ。公示前の議席からマイナスになったものの、石破首相は引き続き公明党との連立政権を維持できる。自民党の派閥パーティー収入不記載問題を受けた逆風の中で「減少幅を抑えた」と評する声もあがるだろう。 だが、このパターンでは石破氏の求心力が高まるとは言えず、むしろ問題は対野党ではなく、対与党となる。石破首相は不記載問題に関係した前議員らを「非公認・比例重複なし」とする措置を今回の衆院選で主導した。大半はかつての最大派閥「安倍派」に所属した面々であり、その多くは石破氏に怒りを抱く。選挙での有権者の審判を受けて「禊」を済ませたと判断すれば、旧安倍派の議員を中心に「石破おろし」が吹き荒れる可能性がある。
反石破の「旗頭」は高市早苗氏だ
とりわけ、安倍晋三元首相が推進した「アベノミクス」や外交・安全保障政策、岸田文雄首相時代に決定された防衛費大幅増に伴う増税プランの開始時期などをめぐり、旧安倍派は石破氏と軸が異なる。年末の税制改正大綱や来年度予算案の編成プロセスを機に「反石破」グループが執行部を揺さぶり、「来年夏の参院選は石破首相の下では戦えない」と動き出すことが予想される。 反石破の「旗頭」となるのは、9月の自民党総裁選で石破氏に惜しくも敗れた高市早苗前経済安全保障相だ。衆院選で高市氏には応援依頼が殺到しており、そうした人々が再び議員バッジをつけてくれば“高市応援団”はさらに強まる。加えて、石破政権で非主流派に転じた麻生太郎最高顧問や茂木敏充前幹事長が高市氏と連携すれば、「石破おろし」の動きが激化するのは間違いない。