【毎日書評】やりたいことなんてない状態から「キャリアの答え」を自分で切り開くヒント
自ら道を切り開いていく行動が大切
組織が大きくなると、必然的にルールや制限も増えてくるもの。 それはS木さんも同じで、環境が変わった結果、とても窮屈な働き方に変わってしまったのだそうです。たとえば、以前の組織では自分の考えを役員に直接伝えることもできたのに、統合後は、週報を介してのレポートラインを守らなければならなくなったのだといいます。 「自分の想いは上位マネジメントへの伝言ゲームの中で消え去り、上からは作業指示だけが降りてくる。以前と比べたら、非常にストレスフルな環境でした」(29ページより) 上司に相談してみても、「俺も納得していないが、やるしかない」という答えが返ってくるだけ。ストレスで体重が8キロも減ってしまったといいますが、そういった組織の悩みは珍しくなく、よく耳にするものでもあります。そんななか、それが理由で会社を辞める人もいれば、「仕事とはそういうものだ」と受け止める人もいることでしょう。 しかしS木さんは、どちらとも違います。社内の提案制度を使って、もっと上下のコミュニケーションが取りやすくなるように風土改革を試みました。他の社員からも不満や意見を募り、現場の声として作り上げた提案資料は、見事にエントリー審査を通過。社長、人事役員への最終提案までこぎつけました。(29ページより) だからといって、すぐに具体的な制度の導入に至ったわけではないようです。しかし、その提案をきっかけとしてS木さんはDX推進室へ異動したそう。DXの導入と風土改革について、部署として提案・実行できるポジションを獲得したということです。 当初の不満がすっかり解消されたわけではありません。しかしそれでも、現状には満足感があるとS木さんはいいます。そしてそのことについて、「自分にとっては、自ら道を切り開いていく行動そのものが満足なんです」と話していたようです。(28ページより)
人生の解像度が高い状態とは?
やりたいこと探しというと、つい「何を」するかとか「どこで」働くかに目がいって、「職業」や「転職先」を探してしまいます。 そこで、「なぜ」「誰と」「いつまで」というように、違った視点で考えてみるとどうでしょうか? S木さんの場合は、道を切り開くプロセスに満足を得ています。抽象的ですが、「なんのために働くのか」という目的がはっきりしているわけです。(31~32ページより) 具体的な職場や職業がなんであっても、S木さんのこの軸はきっと変わらない。そう主張する著者は、このSさんのような状態を、「人生の解像度が高い状態」であると考えているそうです。 たしかにそのとおりでしょうが、これはSさんだけに限った話ではなく、誰にでも当てはまる考え方ではないでしょうか。(30ページより) 自分で答えを導き出す思考や習慣を身につければ、それは一生の武器になると著者は断言しています。そのために、いろいろな角度から問いを提供している本書は、よりよい人生を送るために役立ってくれるかもしれません。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: アスコム
印南敦史