ロシア裁判所、ウニクレディトやドイツ銀など3行の資産を凍結
(ブルームバーグ): ロシアの裁判所は、大手欧州銀行3行のロシア国内資産を凍結した。3行に対しては、ロシア国営ガス会社ガスプロムの合弁会社が総額10億ユーロ(約1690億円)を超える支払いを求めて訴えていた。
16日付の法廷文書によると、サンクトペテルブルク市とレニングラード州の調停裁判所はガスプロム合弁会社ルスヒムアリアンスが提起した訴訟の一部として、イタリア銀ウニクレディトのドイツおよびロシア子会社の資産を凍結した。さらにロシア関連会社2社に対する持ち分と不動産、銀行口座の現金も凍結対象となったという。
また、ドイツ銀行がロシアに保有する証券や不動産、全ての銀行口座資金も凍結したと、文書は説明。コメルツ銀行のロシア資産に対しても同様の決定が下された。
この文書によると、凍結された資産の額はウニクレディトが4億6270万ユーロ、ドイツ銀が2億3860万ユーロ、コメルツ銀が9370万ユーロに上る。
ウニクレディトは17日に電子メールで、この法廷文書について「承知している」と認め、「この件に見合う資産だけが暫定的措置の対象で、ロシア子会社全体が対象にはならないと考えている。その他の詳細は現在精査している」と明らかにした。
ドイツ銀の広報担当者はブルームバーグ・ニュースに対して電子メールで、「ロシアにおける直接的な業務上の影響を分析」するとし、補償条項によって顧客から「完全に守られている」との認識を示した。「約2億6000万ユーロの引当金と補償条項の対象弁済資産を計上」したことを年次報告書で開示しているとも指摘した。
非公表の問題を話す権限がないとして匿名を要請した関係者によると、訴えはルスヒムアリアンスとドイツの産業ガス会社リンデが調印したガス処理施設建設の計画に基づく、ウニクレディトなどの「業績連動債」発行に関連している。
子会社を通じてロシアに約3100人の従業員と50余りの支店を抱えるウニクレディトは、同国でのデフォルト(債務不履行)に備えて2022年以降に8億ユーロを超える引当金を計上し、ローンポートフォリオを3分の2削減したと説明。同行のアンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は今月、ロシアでは制裁を順守しつつ可能な事業を続けるとし、最終的な撤退は実行が難しいと述べていた。