イチロー、愛工大名電時代の目覚ましは「“ピ”で止めなきゃいけない」 午前2時起床の寮生活で築いた“世界のイチロー”の礎【独占密着】
大切なのは「考えること」
これまで2020年の智弁和歌山から始まり、高松商(香川)、都立新宿(東京)など通算8校の高校野球指導を行ってきたイチロー。2024年度最初の指導は、11月9日、10日の二日間にわたり、大阪府立大冠高校で行った。 イチロー:はじめまして、イチローです。 甲子園に手が届きそうなチームこそ、「考えること」が役立つという。 イチロー:履正社、大阪桐蔭は大冠高校のこと、まったく眼中にないです。そこを目指していることをまず知って欲しい。こっちは強烈に意識してるのに相手はまったく相手とも思ってない。そこに挑むんだよ。 イチローの教え方には、特徴がある。まず、自らのプレーで「違い」を実感させる。そして選手に、なぜこんなプレーができるのか考えさせる。 生徒:ナイスボール。 イチロー:どうやって遠くから、外野から正確なスローイングができるのか?それはここ(リリース)じゃないんだ。プロ野球の選手でも多いんだ。メジャーの選手もそう。だいたいここでやってる。でもとっくに決まってるからね。ボール捕ってここ(テイクバック時)で決まってる。(投げ方を見せながら)ここで全部決まってる。ここ(テイクバック時)で決まってるって感触を覚えてほしい。そうすれば安定したスローイングができる。ボールの軌道を見てたら自分の動きが反映されてる。良い球がいったら、良い球になる理由があるし、ダメなボールはその理由がある。それをしっかり把握してほしいんだ。 11月16日、17日には岐阜県立岐阜高校を訪れたイチロー。県内有数の進学校へ通う選手にとっても、知らないことは多い。 イチロー:「走る」ってみんな意識したことある? 生徒:細かいところまでは。蹴るだとか、腕をふるだとか、そういうところは意識したことはあっても体の動きとして意識したことはないと思います。 イチロー:まずは簡単な、肩甲骨で上半身を振ってみる。腕を振ってみる。(腕を小さく振りながら)こうやりがちでしょ。リラックスしてないとできない。じゃあ、ジョギング程度でいいんで。いってみよう。 すぐに真似ができなくて当たり前。どうすれば上手くなるのか、それを考えることが大切だと、イチローは説く。 イチロー:難しいよね。しょうがない。 イチロー:どう、51歳のおじさんの走りは? 生徒:かっこいいです。 イチロー:そうですか(笑)きれいなのを目指して。最終的にはね、結果それはスピードにつながる。