「光る君へ」惟規役・高杉真宙が最も思い出深いシーン 「姉上と賢子がシンクロした」
そんな惟規に対して、高杉は「描かれていない部分でいろんなことを思っていた子なんだなって、改めて思いました」としみじみ。賢子の裳着の儀は、高杉にとって最も思い出深いシーンになったという。
「(親子仲が悪かった)姉上と賢子がシンクロするという意味でも印象に残っています。しかも僕にとって、姉上の裳着のシーンが撮影初日だったんです。その時は宣孝さん(佐々木蔵之介)が腰結(袴や裳の腰のひもを結ぶこと)を担当されていたんですけど、賢子の時は僕がやらせていただいたんです。そういった意味でも感慨深いですね。惟規が賢子に“これでお前も一人前だ。婿もとれるし子も産める”って言うんですけど、多分父上は本当は姉上にこう言いたかっただろうなと。あの時の姉上の姿がフラッシュバックして、家族の歴史みたいなものを感じられたというか。1年やっているので、本当に賢子のおじさんになったような感覚がありましたし、時間を積み上げてきた感覚がリアルにあったんだと思うんです」
高杉にとって約1年半の撮影を共にしてきた姉・まひろ役の吉高は「今までお会いしてきた先輩方の中で1番だなと思うぐらいフランクな方。人を引きつける素敵な魅力がある」、父・為時役の岸谷は「超かっこいいお父さんでした。なのに、撮影の合間は面白おかしく話してくださるのもうれしかった」、そして登場人物の中でもとりわけ深い絆で結ばれていた乳母いと役の信川については「一緒にふざけられる母のような存在。ソウルメイトに近しい」とも。
惟規の訃報を受け辞世の歌を読んだまひろは、賢子の胸で慟哭。これまで母を遠ざけていた賢子が共に惟規の死を悼むことで、寄り添うこととなった。愛すべき惟規のあっけない死へのロスは計り知れないが、残されたまひろ、為時、そして賢子らに残したいメッセージを問うと、「“頼む! ハッピーエンドであれ”と。本当に頼むって感じです」と家族の行く末をおもう高杉。「本当にバッドだけは見たくない。願わくは、姉上と父上のハッピーエンドが見たいですけど、史実もありますし、どうしたって避けられないこともあると思いますが、だからこそ、どんな時も子供に託さなければいけないこととかもあると思うんですよね。今後どうなっていくのかはわからないですけど、賢子が大変な思いをしなければいいなとおじさんの気分で願っています」と“家族”にエールを送った。(編集部・石井百合子)