「光る君へ」惟規役・高杉真宙が最も思い出深いシーン 「姉上と賢子がシンクロした」
「歳を重ねていくにつれて、果たして惟規はこの感じでずっといいのかって思いながら演じていた」と感じることもあったというが、「明るく軽く」を貫いたと高杉。「ほぼほぼそこ一辺倒でやってきました。そこにちゃんと気を使えるとか、家族思いといったところがプラスされて、あとはもう台本に沿って。1年もやっているので、その軸さえあれば、ストーリーの流れをきちんと把握していたら、取り立てて何かを重要視する必要はなかったように思います」
その明るさで父・為時(岸谷五朗)や姉・まひろ、従者の乙丸(矢部太郎)、乳母いと(信川清順)らを照らしてきた惟規だが、13日放送・第39回「とだえぬ絆」では病を患いあっけなく逝ってしまった。越後守に任ぜられた父を送るために越後に向かう道中で惟規は意識朦朧となりながら、辞世の歌として「都にも恋しき人の多かればなほこのたびはいかむとぞ思ふ」(都にも恋しい人がたくさんいるゆえ何としても生きて帰りたい)と詠んだ。 この展開については、「惟規は史実が多くは残っていないのですが、父上と越後に向かう道中で亡くなるというのは聞いていました。都を離れてみて、帰ると安心する家族だったなと改めて思いました。それに“あと残り10回ぐらいなのになぁ”って……」と寂しさを漏らす高杉。一方で、本シーンのために書道を練習することになり「息絶え絶えの中で書くので上手である必要はないという前提はあるものの、まさか最後の最後で書道をやらせていただくとは思っていなくてビビりました……。しかも実際に僕の字が使われるなんて! 最初は何を書いているのかわからなかったほどでした」と知られざる苦労も。
最期まで家族のことを想っていた惟規は、亡くなる前にまひろ、そして姪の賢子(南沙良)のために多くの気遣いを見せ、道長には大胆にも「恐れながら姉は気難しくて人に気持ちが通じにくいのでございますが、どうぞ末永くよろしくお願いします」と姉の身を託した。また賢子の裳着の儀では娘との不仲に悩むまひろに、かつてまひろが裳着の儀を迎えた際に父・為時との関係が最悪だったことを述懐しながら「親子って変わらないようでいて、変わるんだな」「きっと……みんなうまくいくよ」と励ました。