西洋版こっくりさん、『エクソシスト』で悪魔が出てきた「ウイジャボード」とは何なのか
魔力への入り口?
時間の流れとともに、ウイジャボードは軽いロマンチックなゲームから幽霊や実際に起こった犯罪と関連付けて捉えられるようになる。1960年代末には、マンソン・ファミリーによる連続殺人事件やサタン教会の設立などの影響もあり、ウイジャボードのイメージは大きく変化し始める。その流れを決定づけたのが1973年に公開された映画『エクソシスト』(日本での劇場公開は1974年)だった。 『エクソシスト』は、ほぼ実話に基づいた映画だ。少女が独り、ウイジャボードで遊ぶシーンがあるが、その時に解き放たれた悪魔によって少女が憑依されることで物語は展開していく。コジック氏は、「ウイジャボードを通して悪魔が出現することを示唆した映画は、『エクソシスト』が初めてだ」と言う。 そして、「実話に基づいたホラー映画を見ると、自分にも同じことが起こるのではないかと考えてしまいます」と、コジック氏は続ける。 1967年、ウイジャボードの売り上げは200万枚を超え、現在に至るまで「モノポリー」(ボードゲーム)をしのいだ唯一のゲームとなった。つまり、恐怖と期待感が広がる十分な下地ができていたところに、『エクソシスト』の大ヒットがあった。そして、その後の『死霊の世界ウィッチボード』などといったホラー映画によって、今なお語られる恐ろしいウイジャボード神話が確立していく。 気味の悪いうわさ話に事欠かないウイジャボードだが、その原理は、人が無意識に体を動かす観念運動現象にあることが研究から分かっている。とはいえ、今でも子どもに人気の遊びであることは、ウイジャボードの魅力が褪せていないことの表れだろう。多くの人がウイジャボードを無害なゲームと認識している一方で、コジック氏の下には恐怖を捨てきれない人々から処分してほしいと、しばしばウイジャボードが送られてくるという。
文=Marci Vaughn Kolt/訳=三好由美子