アルミ二次合金メーカー、運賃上昇に苦慮。販売価格への転嫁進まず
「2024年問題」として4月に運賃が本格的に上昇してから3カ月経過したものの、アルミ二次合金メーカーは販売価格にまだ転嫁できないでいる。コスト上昇分を販売価格に反映できないことは利益圧迫につながっており、業界では早期改善が課題となっている。しかし運賃だけをフォーカスして交渉する商習慣がこれまでなかったことが転嫁を難しくしており、メーカーにとっては苦しい展開が続いている。 アルミ二次合金メーカーがトラックを手配するのは製品納入時と主原料であるアルミスクラップの引き取り時。その際の負担について、アルミ二次合金メーカーは「通常の人件費を含めた運賃上昇分に加え、労働時間上限規制を背景にルートによって高速道路の使用が増えており、その分の上昇もある」と述べた。 4月以降のダイカスト用アルミ二次合金(ADC12)価格は単月積み後決め交渉において毎月キロ当たり10円以上の値上がりでまとまってきたものの、反映されているのはアルミスクラップの仕入れ値高のみ。6月末まで運賃上昇分は交渉テーブルに上がっていない様子。アルミ二次合金メーカーによると、ダイカスト用アルミ二次合金はこれまで運賃が内包されて変動してきた経緯があるため、原料分と運賃分を区分けして交渉に当たることが難しいという。 交渉状況については「アルミスクラップの仕入れ値高を反映させるので精いっぱい。運賃上昇分は原料の仕入れ値高を転嫁しきった後、タイミングを見ながら織り込んでいきたい」(アルミ二次合金メーカー)との声が中心。そのほか「個社の取り組みとして完遂できるかはわからないが、価格体系を見直す時期なのかもしれない」との話も聞かれた。 運賃上昇分の転嫁はこれからとなるが、自社で対応できるドライバーの待機時間削減に向けた取り組みは各々進めている。混雑を避けるための時間指定や事前の積み荷の準備を早めに行うなどし、受け入れ・出荷時ともにやりとりがスムーズになるような体制を構築している。