【解説】北朝鮮“人工衛星”打ち上げ予告 米韓の動きを把握する「目」の役割か
それから、2009年には「3月に人工衛星打ち上げのためのロケットを発射する」と通知した上で、4月に弾道ミサイルを発射。2012年3月にも、「4月に人工衛星を打ち上げる」と予告し、このときは失敗に終わっています。同じ年の12月に改めて通知し、予告期間内に事実上の長距離弾道ミサイルが発射されました。 そして、直近は2016年2月です。このときも事前通告があり、期間内に人工衛星と称した長距離弾道ミサイルを発射しました。こういったことがずっと繰り返されてきたので、政府としては、今回も万全の体制をとるということになります。 また、事前に通知があった2009年以降の事例は、いずれも予告された期間の初日~3日目に発射されています。今回は7年ぶりとなりますが、今回はどうなるのか。通知された期間は、5月31日~6月11日です。あくまでも可能性ですが、これまでの事例の通りだとすれば、もしかすると今週中の発射もあるかもしれません。
■今回は本当に人工衛星? 専門家「ウソで覆い隠す必要もなくなった」
そして、打ち上げの場所はどこか。前回の2016年は、北朝鮮の北西部・東倉里(トンチャンリ)にある「西海(ソヘ)衛星発射場」から打ち上げられました。この周辺では、今月に入り活発な動きが確認されていて、今回もこの発射場が使われるものとみられます。 こうした中、金正恩総書記は娘を伴って、今月16日に「軍事偵察衛星」を視察したとメディアが報じています。今回、これが打ち上げられるとみられます。北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学教授の礒崎敦仁教授にも話を聞いたところ、「今回は人工衛星の打ち上げと見ておいたほうがいい」と言っていました。これはどういうことかというと、「2016年まで、北朝鮮はアメリカの反発を気にしながら、ICBM(=大陸間弾道ミサイル)の開発を実に慎重に進めてきた。しかし、2017年以降は、ICBMの発射実験だとしてミサイル発射を続けている。もはやICBM開発のために『人工衛星だ』とウソで覆い隠す必要もなくなって、この数年は公言した上でミサイルを発射している。だから、今回は予告で『人工衛星』だと区別している通りに『軍事偵察衛星』を打ち上げるとみている」ということです。