【解説】北朝鮮“人工衛星”打ち上げ予告 米韓の動きを把握する「目」の役割か
日テレNEWS
29日、政府は、北朝鮮が人工衛星を打ち上げると連絡してきたことを明らかにしました。しかし、過去には人工衛星と称した弾道ミサイルの発射が繰り返されています。 ◇日本は破壊措置命令 ◇最初の3日間 ◇今回の目的は「目」 以上の3点について詳しくお伝えします。
■北朝鮮から打ち上げ予告…3つの海域に「航行警報」
政府によると29日未明、北朝鮮から海上保安庁に対して、「31日の午前0時0分から6月11日の午前0時0分までの間に、人工衛星を打ち上げる」との連絡があったということです。具体的には、「『黄海』『東シナ海』『ルソン島』の東の方向に打ち上げる」と連絡してきたといいます。 これを受けて、海上保安庁はこちらの3つの海域に「航行警報」を出しました。空から落ちてきたり、海に浮かんだりした残骸に船が衝突する危険があるので、注意を呼びかけています。官房長官の会見で、北朝鮮からは海上保安庁に、29日未明にメールで情報提供があったこともわかりました。
■岸田首相「直接向き合う覚悟」 日朝首脳会談も視野に
日本の領域内への落下に備え、浜田防衛相は自衛隊に対して、「破壊措置命令」を発出しました。岸田首相は、当然のことですが、北朝鮮を激しく批判しています。 岸田首相 「衛星と称したとしても、弾道ミサイル技術を用いた発射、これは安保理決議違反であり、国民の安全に関わる重大な問題であると認識をしています」 岸田首相は、不測の事態に備え万全の態勢をとることなどを指示しました。その上で、金正恩(キム・ジョンウン)総書記と「直接向き合う覚悟でこの問題に臨む」と述べていて、日朝首脳会談も視野に対応していく考えを示しています。
■人工衛星ではなく「ミサイル」…いずれも予告から初日~3日目に発射
人工衛星を打ち上げるためのロケットと弾道ミサイルは、構造が基本的に同じです。ざっくり言うと、先端に衛星を積んでいるか、兵器を積んでいるかの違いしかないといいます。 これまで北朝鮮は、「人工衛星」と称して、長距離弾道ミサイルの発射を繰り返してきました。 最初の事例は、1998年8月に起きました。人工衛星として打ち上げられたのは、「テポドン1号」でした。このとき北朝鮮は、『「金正日将軍の歌」などを地上に送信している』と説明していましたが、日本政府は「弾道ミサイルの射程を伸ばすための実験だった」と結論づけました。