深セン男児死亡事件から1ヵ月 外務省は日本人学校の警備強化を表明 中国政府は犯行動機をいまだ明らかにせず
中国の深センで日本人学校の男子児童が刃物で刺されて死亡した事件から、18日で1ヵ月が経ちます。 【現地の警戒心はむしろ高まっている】中国・男児死亡事件から1ヵ月 犯行動機いまだ明らかにされず…先の見えない状況に今後の対策は 外務省は日本人学校の警備強化を表明しましたが、中国政府は事件の背景をいまだ明らかにしておらず、現地では不安が広がっています。
男児死亡から1ヵ月 犯行動機いまだ明らかにされず 外務省は日本人学校の警備強化を表明
中国の南部に位置する深センで事件が起きたのは今から1ヵ月前。日本人学校に通う10歳の男子児童が登校中に刺され、翌日死亡しました。 児童が通っていた学校の前には大量の花束が届けられました。 (献花に訪れた中国人)「こんなことがあってはなりません。私たち中国人は日本人との交流がとても好きです。子どものために祈りを捧げなければ」 (献花に訪れた中国人)「私もとても心が痛む。すべての中国人がこうではないとわかってほしいと思います」 現地メディアは男の子を刺した容疑者は、2015年に電信設備の破壊、2019年にデマで公共秩序を乱したとして拘束された44歳の男だと報じました。 しかし中国政府からは、1ヵ月経った今も犯行動機など具体的な説明は一切ありません。 日本人学校に通う子どもの安全対策を強化するため、柘植芳文外務副大臣は、外務省予算の中から約4300万円を拠出し、中国本土と香港にある12校の日本人学校の警備強化にあてる考えを示しました。北京では、警備員を現在の4人に加えて、最大で6人増強するとのことです。 日系企業も対応に動いており、パナソニックホールディングスでは会社負担で一時帰国できるようにしました。
ただ、6月には蘇州市で日本人学校のバスを待っていた親子が襲われたばかり。相次ぐ事件に現地在住の日本人の間で不安が広がっています。 日本人学校は今週に入り通学を再開したものの、保護者からは「外に出るのが怖い」「眠れない」といった声がー。 中国で取材する記者が最新情報を詳しくお伝えします。
子育て中の日本人の不安高まる 中国政府の思惑はうやむやの収束?
尾崎記者: 事件から1ヵ月経ちますが、現地で暮らす日本人の警戒心はむしろ高まってきていると感じています。というのも、一番立場の弱い子供が襲われた。しかも、日本人学校の学校のそばで襲われてしまった。犯行動機が明らかになっていないという部分が、中国で子育てをしている保護者の間では一番の不安材料になっています。 日本政府の関係者によると、中国ではこうした大きな問題が起きると、うやむやに問題を終わらせるのが非常に巧みな面があるということです。 例えば、災害などが起きて責任問題になると情報をシャットダウンして、時間が経過するのを待ちます。そうすると問題がうやむやのまま収束していく。 日本政府としては情報開示や安全対策を中国政府に対して強く求めていくことが大切になります。