「LINEの返事がそっけない!」 何に対してもキレる妻の表に出せない本音
伝え方一つで、相手との関係性は大きく変わります。もし相手との意思疎通がうまくいっていないようであれば、お互いが意見を言う以前に「受け止める」ことができていないかもしれません。 日本マインドワーク協会代表の濱田恭子氏は、著書『仕事がうまくいく人は「人と会う前」に何を考えているのか』にて、相手を尊重しながらもきちんと意見を言うスキルを紹介します。 ※本稿は、濱田恭子著『仕事がうまくいく人は「人と会う前」に何を考えているのか』(青春出版社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「意見を言う」前に「受け止める」
人と人との会話の根底には、「私を認めてほしい」という思いがあります。他者との関わりから得られる刺激のことを「ストローク」といいます。 ストロークは、アメリカの精神分析医であるエリック・バーン博士が提唱した交流分析という心理療法で重視されているもので、「あなたがそこにいるのを私は知っている」という"相手の存在を認めて行う働きかけ"のことです。言葉かけや態度によって相手の存在を認めて行う、すべての人との関わりを意味します。 直接体に触れるコミュニケーション、たとえば、肌に触れる、なでる、さする、殴る、つねるなどのほかに、言葉を交わすメッセージや、表情・動作・態度・声の調子など非言語のメッセージがあります。 私たちは誰しも相手の興味を引きたい、自分がこの世に存在していると確信したい、認められたいと願っています。他者からストロークを得るということは、その証ともいえます。相手から"反応"が得られれば、うれしいものです。 人は「自分の存在を肯定的に認めてほしい」がために、常にストロークを求めています。肯定的なストローク(プラスのストローク)とは、受け手が心地よく感じる言葉や態度による働きかけです。 一方、否定的なストローク(マイナスのストローク)とは、受け手が不快に感じる言葉や態度による働きかけです。ストロークがプラスかマイナスかを決めるのは、あくまでも「受け手」のほうであることがポイントです。 いくら自分がプラスのストロークを与えたつもりでも、受け手が不快に感じてしまったらマイナスのストロークになります。また、自分はそんなつもりはまったくなくても、何気なく言ったひと言や態度が、受け手を傷つけていることもあるかもしれません。 相手にプラスのストロークを与えたいと思ったら、相手をおもんぱかり、相手の気持ちを想像してみることを大切にしましょう。 「存在を認めてほしい」「反応してほしい」という思いが根底にあることによって、コミュニケーションのパターンが生まれます。それが「脅迫者」「被害者」「尋問者」「傍観者」であり、その関係性は凸凹(デコとボコ)で表されます。 あるクライアントの女性は、自分が家庭で尋問者(デコ)で、夫にデコっていたことに気がついたそうです。「夕飯は用意しておいたほうがいい?」「今日は何時頃に帰るの?」など、仕事中の夫にLINEを連発していたそうです。夫からの返信が短いと「そっけない」と言って怒り、長いと「要点がわかりにくい」と言って怒っていたそう。 あるとき夫からの返信がまったくなくなりました。問いただすと、「何を返信しても怒られるから、もう返信しなくてよくない?」と言われ、大ゲンカに。セミナーで学んだ彼女は、自分の本当の気持ちに気がつきます。いろいろな理由をつけて夫にLINEを送っていたのは、「自分が注意を払われていないこと」が寂しかったのだと。注意を引きたいから、デコる。相手は嫌になってボコる。 人とコミュニケーションをとるときに、表面に見せている言葉や態度に反応をしてしまうと、どんどん本質からズレていきます。目の前の人はただ"私を認めて"と言っているだけかもしれません。話の内容がどうとか、話の筋が通っているかどうかということより大事なのは、「相手に存在価値を認めてもらっているかどうか」ということが往々にしてあります。 言った、言わないはあまり意味がありません。それよりも、本当は何が言いたかったのか、相手はなぜそれを言うのか。それだけに集中したほうが、ラクに生きられますし、人間関係もスムーズになります。