「LINEの返事がそっけない!」 何に対してもキレる妻の表に出せない本音
「問い詰める」質問から「安心感を与える」質問へ
上で紹介したデコタイプ、ボコタイプの組み合わせは社長と部下でした。このようにたいていの場合、上司がデコで部下がボコですが、逆のパターンもあります。 専務が「尋問者(デコ)」、社長が「傍観者(ボコ)」のケースです。専務は有能な方で、常に社長に確認していました。「今日のスケジュールはどうなっていますか」「誰と会うのですか」「手配はどうしたらいいですか」と。もちろん、専務は社長のために手配をしようとして確認しているわけですが、社長からすれば、まさに「尋問」だった(デコだった)のです。 そのため、社長は「傍観者」としてどんどんボコっていきます。つまり、情報を開示しなくなっていったのです。まるで夫の予定を問いただす妻と、家に帰りたがらない夫のような構図が、会社で繰り広げられていました。そこで、企業研修の際に、専務に「なぜ社長に次々に問いただしてしまうのか、理由を示しましょう」とお伝えしました。 専務には、社長の予定がわからないと、どう動いていいかわからない「不安」の気持ちが根底にあります。予定がわからないと、不備が生じて社長が困る。だから、確認しているのだということです。 ところが、今の伝え方のままでは、どんなに丁寧に聞いているつもりでも、受け取る社長のほうには、「いったい予定はどうなってるんだよ、ちゃんと言えよ!」というふうに聞こえます。 ポイントは最後に付け加える言葉。最後に「助かります」「ありがたいです」を付け加えることです。 「来週の予定を教えていただけると、会議室の予約ができて助かります」 「何時にお戻りですか?時間がわかると準備ができるのでありがたいです」 誰だって、尋問されるより感謝されるほうがうれしいものです。そして、なぜそれを尋ねられるのか理由がわかれば、気持ちよく答えることができます。 一方の社長のほうには、「責められているように感じたかもしれませんが、尋ねるほうは不安や恐れから確認しているのです。不安を払拭するように情報を与えてください」とお伝えしました。 社長がスケジュールを開示してくれるようになると、専務も根掘り葉掘り尋ねることはなくなりました。 この問題は「安心感を与える」ことだけで解決してしまいました。根底にあるのは専務の「不安」でした。その不安を払拭するだけでよかったのです。それだけで、複雑に見えた人間関係や、ギスギスしていた人間関係があっけなく変わってしまうケースがあります。これは職場だけでなく、家庭でも、恋愛関係でも、すべてに応用できます。 相手がとる不快な言動や行動。腹が立つ、うっとうしい、などと思うこともあるかもしれません。でもそのときに、「もしかしたら、相手は不安なだけなのではないだろうか」と想像してみるだけでも、関係性が改善するでしょう。
濱田恭子(一般社団法人日本マインドワーク協会代表理事)