トヨタが液体水素エンジンのボイルオフガスを有効活用する技術コンセプトを発表、実現に向けて開発仲間を集う…スーパー耐久 第7戦 富士ファイナル
ENEOS スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE(スーパー耐久)の 第7戦 S耐ファイナル 富士が11月16日、富士スピードウェイ(静岡県)で開幕した。トヨタは「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(液体水素エンジンGRカローラ)で参戦。走行中に発生するボイルオフガス活用を想定したコンセプトモデルを展示し、ともに技術開発に挑戦する仲間を募っている。 【画像全10枚】
液体水素エンジンGRカローラの燃料タンク部は魔法瓶構造になっておりマイナス253度の液体水素を保温しているが、外からの熱を受けて少しずつ気化してしまう。これがボイルオフガスと呼ばれるもので、気体水素に比べ多くの燃料を搭載することができるものの、燃料の一部に無駄が生じてしまうという課題がある(現在は活用されることなく大気中に放出されている)。ボイルオフガスは、車両が停止状態でも少しずつ発生しており、走行中はタンク内の燃料が暴れるためその量はさらに増える。
今回、そのボイルオフガスを上手く活用する手段として、新たなコンセプトモデルが展示された。
まず、重要なのはボイルオフガスの発生量自体を抑えることだ。現在はモーター&ポンプユニットがタンク上部から刺さっている状態だが、どうしても接続部分から大気の熱を受けて気化してしまう。それを防ぐために、モーター&ポンプユニット自体をタンク内に入れてしまおうという発想で、超電導技術を活用する技術チャレンジを行っている。超電導技術は、極低温になると電気抵抗がゼロになるというもの。トヨタは、マイナス253度という液体水素の温度環境を利用し、出力(パワー)を維持しつつ軽量小型の「超電導モーター」を実現するという構想を2023年5月のスーパー耐久第2戦富士24時間レースで発表していた。この取り組みは、東京大学、京都大学、早稲田大学との共同研究として進められている。