トヨタが液体水素エンジンのボイルオフガスを有効活用する技術コンセプトを発表、実現に向けて開発仲間を集う…スーパー耐久 第7戦 富士ファイナル
ここからが今回の発表内容になるが、ボイルオフガスを有効活用するために、トヨタが取り組んでいるのが三段階の技術開発だ(「3WAY処理」)。第一段階では、タンク内の液体水素から発生したボイルオフガスを自己増圧器(外部からのエネルギーに頼らず圧力を高める装置)に送ることで、再利用できる燃料を作り出す。発生するボイルオフガスは非常に圧力が低い状態なので、そのままエネルギー活用することは難しい。 自己増圧器は、ボイルオフガス自体が持つ圧力を操作することで、新たなエネルギーを要することなく約2倍から4倍に増圧し、再利用燃料を生成することが可能。インジェクター等に活用することで、効率性をアップする。
第一段階で余ったボイルオフガスは、新たに開発中の小型燃料電池パッケージ(FCスタック)に送り、水素を化学反応させて発電する。これによって発生した電力は、液体水素ポンプ用のモーターなどの動力としての活用を想定しているという。実現すれば本来オルタネーター(小型発電機)での発電量に相当する電力をボイルオフガスから補うことが可能になり、エネルギー効率の向上が期待できる。
そして、この2つの工程で使いきれなかったボイルオフガスは、これまでと同様に触媒を通じて水蒸気に変換し、車外に安全に放出する。
このシステムが確率すれば、液体水素のロスを低減し航続距離を伸ばすことが可能だ。また、オルタネーターの使用にはエンジン動力が利用されているため、その分を小型FCスタックでまかなえればエンジンパワーをフルに使うことができ走行性の向上につながるとのこと。
「増圧器は工場のコンプレッサーなどに搭載されているが、基本的には空気を使用するもので、水素用というものは現時点でない。技術的に難しい部分があり、仲間がほしいと考えている。また、パワートレインユニットとしてのFCスタックは『MIRAI』や『クラウンFCEV』などで知見がありトヨタが得意とするところだが、今回のような小型ものに関してはまだまだ開発段階。オールジャパンで世界で戦っていきたいという思いもあるので、多くの企業に参加してもらい一緒にを実現を目指したい」(開発担当者)としている。
レスポンス 吉田 瑶子