ITの仕事で信州に来て泊まれば補助金1万円 長野県が参加者募集
IT関係者が長野県に来て仕事をするとその都度、宿泊費1万円を補助――。長野県がこんなユニークな補助事業を今年も7月末まで募集を始めました。昨年は定員20人に対し50人が応募し、ネットなどで評判が拡散。長野に立ち寄ってもらったIT人材に長野との縁を育ててもらおうという試みで、今回も多くの応募が予想されています。
県指定のコワーキングスペースを選択
事業名は「ときどきナガノ 2017」。今年9月1日から来年2月28日までの間に「ときどき」長野を訪れて自分の仕事をするIT関係の人材に宿泊費を補助します。対象者は「地方での暮らしや仕事に関心のあるIT関連の事業に携わる個人」で、個人事業主か会社勤務かは問いません。 IT関連の事業としてアプリやソフト、ゲームの開発、スマホ関連、IT利用の製造業や小売業へのサービスの提案、IoT、ICT、AIなどのITソリューションの開発などを挙げています。 条件は、県外から長野県に「来て」「仕事をして」「泊まる」場合に、1回来県するごとに滞在日数にかかわらず宿泊費として1万円を補助。1回の来県で2泊3日などの場合も補助は1万円です。ただし来県は最低3回以上とし、10回まで。期間中に10回訪れると合計10万円の補助金が出ることになりますが、予算などとの兼ね合いで参加者のケースごとにスケジュールなどを調整します。 さらに自分のIT関連の仕事をする場所は、長野県が指定したコワーキングスペースなどのオフィスから選んでもらうのが条件。数泊する場合も連日オフィスで仕事をすることなく、半日以上1回仕事をすれば補助条件を満たします。
20人募集、締め切りは7月31日まで
参加者の条件は(1)20歳からおおむね45歳まで、(2)長野県以外に居住していること、(3)長野県内に支店などを持つ組織に属していないこと――のすべて満たしていること。募集人員は20人ですが増減する場合があります。申し込みは応募の専用サイトからメールで。締め切りは7月31日の午後5時。書類選考で参加者を決めます。 この事業の狙いを長野県は「長野県で仕事をする機会を通じて試行的、または本格的な移住や仕事の拠点づくりなどのきっかけにしてもらいたい」(産業労働部・サービス産業創出係)とし、職場に戻ってから長野県の印象などを同僚や友人に伝えてもらうことにも期待しています。 「家族連れで長野を訪れて、観光を兼ねて滞在したりするのも自由です」と県の担当者。昨年の参加者からは「同じ参加者やコワーキングスペースの方との交流で刺激を受けることができた」、「長野でフリーランスとして活動することが不可能ではないと思うことができました」などの感想が寄せられ、県のサイトで紹介しています。 昨年は定員を30人上回る応募があったため、最終的に29人が参加。参加者の多くは東京など首都圏からで、大阪など関西も一部ありました。宿泊は、利用者の交流の機会が多いゲストハウスなどが選ばれています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説