韓国の文化・サブカルチャーが国際的に注目された一年だったが、では「ウェブトゥーン(縦読み漫画)」は?
国・地域によって異なる商慣習や作家への支援モデルを踏まえてどう作品・作家を集めるか
話を戻すが、韓国のNAVER Webtoonと日本のLINEマンガで人気の作品やジャンルが必ずしも一致しないように、それぞれの国で人気の作品、ジャンル、絵柄がある。 プラットフォーマーとしては、そうしたローカルな需要を吸い上げるためには、韓国発の作品/IPの輸出のみならず、現地クリエイターのリクルーティングも重要になる。 日本でも2024年にはLINEマンガでナンバーナインが制作したウェブトゥーン『神血の救世主』などが年間ランキングのベスト10に2作も入り、投稿サービスであるLINEマンガインディーズ出身の『先輩はおとこのこ』がアニメ化されたが、こういう状態を10年以上かけて各国で作ろうとしてきたのがNAVERである。 そしてここからが、プラットフォーマーが展開先それぞれの土地に最適化されたビジネスモデルの構築する必要ともつながってくる。 NAVERは英語圏の創作者に支給した総額が2020年以降、2,700万ドルを超えたと明らかにした。日本円にすると40億円程度だから、日本のマンガ産業が1年に作家に支払っている印税の総額の10分の1にも満たない。 しかし、デジタルコミック自体を課金して読む習慣がなかなか広まらない英語圏で、NAVERは何に対して作家に金銭を支払っているのか。 NAVERは韓国で言う「挑戦漫画」、日本で言う「LINEマンガインディーズ」に相当する自由投稿サービス「CANVAS」を各国・各言語で運営している。 CANVASのクリエイターは (1)広告収益の還元(Ad Revenue Sharing Program) (2)公式連載作家として契約をする(連載作家には原稿料が支払われ、販売収益も分配される) (3)Patreon(日本で言えばpixivFANBOXのようなサービス)を使ってファンから直接収益を得る (4)ファンが購入した「Super Like」(YouTubeで言うスパチャのような投げ銭)を換金する といった収益化の手段がある。 おそらくNAVER的には韓国で成功したやり方である「自由投稿で人気になった作品を引き上げてプラットフォームの公式連載作家になってもらい、原稿料を支払って連載してもらって、広告や課金で得た収益を還元する」でほかの国でもいけるだろうと当初は思っていたはずだ。