韓国の文化・サブカルチャーが国際的に注目された一年だったが、では「ウェブトゥーン(縦読み漫画)」は?
山積する課題
ところが日本以外の国では、課金がなかなか伸びない。 どころかインディーズ作家たちのなかから、CANVASに作品は投稿するが公式連載作家としては契約しないまま、NAVERにとっては外部サービスである(つまり収益にならない)Patreonを使ってファンから直接毎月収入を得ることだけを選ぶ作家が現れるようになっている。 「Patreonがあれば公式連載作家にならなくてもいい」というロールモデルの典型がアリス・オズマン『ハートストッパー』である。同作はCANVASやTapas、Tumblrに連載して個人でクラウドファンディングして書籍化したものがロングセラーとなってティーンを中心に絶大な支持を集め、Netflixでもドラマ化された。 読者側に目を向けても、「デジタルコミックに対して毎話課金する」のはあまり好まないけれども「クリエイターに毎月課金する」ことを選択するユーザーはそれなりにいたわけだ。 NAVERにとって問題なのは、クリエイターたちが「毎週1話更新、1話につき最低○コマ」という公式連載作家契約に乗ってこないと、プラットフォーム内で有料配信できる作品が増えないことだ。 つまりNAVERは、NAVER Webtoon内での公式連載作家契約・有料販売ルートを選ばないけれどもCANVAS内では人気を集める有力作家がおり、今後も増えるだろうことを前提に、才能を集め、かつ、プラットフォームとして収益化する道を模索しなければならないのである。 そこでNAVERは2024年、CANVAS発のサービスとしてSuper Like(投げ銭)を導入するかわりにPatreonとの連携を排除し、ファンからクリエイターへの直接的な課金に対してNAVER側が手数料を徴収できるようにシステムを変えようとした。 しかしこれに対して作家たちから猛反発が起こり、結局PatreonとSuper Likeが併存するかたちに今は落ち着いている。 だがNAVERのビジネスモデルからすれば作家とプラットフォームでWIN-WINな落としどころとは言えず、決して課題の「解決」にはなっていない。