九州の資さんうどん社長「海外展開も視野」 すかいらーくが240億円で買収
北九州市を中心に「資(すけ)さんうどん」を展開する資さん(北九州市)が9月6日、外食大手すかいらーくホールディングス(HD)傘下に入ると発表した。2023年、関西に1号店を出店し、九州は7県全てに進出するなど、地方チェーンながら積極的に展開地域を広げている資さんうどん。すかいらーくHDが持つ経営資源を活用し、さらなる出店加速を見据える。資さんの佐藤崇史社長に今後の戦略について聞いた。 【関連画像】資さんうどんの看板メニュー「肉ごぼ天うどん」(写真=資さん提供) 資さんは近年、出店地域を積極的に広げている印象です。 佐藤崇史社長(以下、佐藤氏):1976年、資さんうどんの1号店が北九州市にできました。「北九州のソウルフード」として北九州を中心に長い間愛されています。看板メニューは「肉ごぼ天うどん」。だしはサバや昆布、しいたけなどを使用したやや濃いめの味付けで、中はモチモチでほどよくこしのある「さぬきうどんと博多うどんの中間のような麺」が来店客に親しまれています。 私は(ファーストリテイリング勤務などを経て)社長に着任して6年がたちましたが、地域の人にこんなに支持されているのであれば、より多くの人に資さんうどんを楽しんでもらいたいと思い、「北九州の資さん」から「九州の資さん」になろうと九州全域に出店を進めました。そして、2023年12月には九州全県への出店を達成しました。ただ、出店したからといって「九州の資さん」になれるとは思っていなくて、やはりその地域で愛されるお店に育てていくことが必要です。 「九州の資さん」のスタートラインに立ったということで、次に出店を広げる地域は、やはりお客様の声としても大きい関東圏と関西圏です。九州出身の方など、何らかのゆかりのある方を中心に、早く資さんうどんに来てほしいという声をすごくたくさんいただいていました。 そういったことも踏まえて、まずは23年、関西初出店にチャレンジしました。関東にも24年冬に1号店のオープンを控えています。この事業を開始してから48年がたち、「48歳、上京。」と関東初進出を打ち出していきます。 このようにより多くのお客様に資さんうどんの最高の一杯を楽しんでいただくことを目指す中で、すかいらーくHDが持っている経営資源を活用したいと考えています。 すかいらーくHD傘下に入ることでどのようなメリットがあるのでしょうか。 佐藤氏:出店地域を拡大していくと、当然それに伴ってサプライチェーン(供給網)や人材採用、人材育成の仕組みを整える必要があります。今は経営環境もすごく厳しい状況なので、地方の一飲食チェーンが、全国に広がっていくハードルが昔より高くなったと思っています。 そういう状況の中で、すかいらーくHDの豊富な経営資源を活用できるということが明確ですので、今回の傘下入りは、資さんうどんの出店地域を拡大する上で非常に大きな意味があることだと思っています。 出店を拡大することで、創業の味が守られなくなるという不安はないのでしょうか。 佐藤氏:すかいらーくHDからは、資さんが大事にしてきた「幸せを一杯に。」という経営理念や、これまで培ってきた味、温かみのあるサービスなどを一緒に追求していきましょうということでお話をいただいています。北九州で「ソウルフード」といわれている味を守ることと、出店するそれぞれの地域で愛される店作りをしていくことはこれからも絶対にしていかなくてはいけないです。 すかいらーくHD傘下に入ったことで今後の体制に不安がある方もいらっしゃると思います。ですが、どちらかというと経営資源や食材供給のノウハウが加わって、むしろ商品の安定供給という面では経営基盤が強くなるようなイメージです。