シルクが縁で松方弘樹さんと沖縄へ 「オレといえばクルーザーでマグロの一本釣りだろ」 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<25>
《広告のロケ地を相談する》
松方さんはイメージ通りの豪快な人でした。一番肝心なギャラも、僕が「金額はこれしか出せません」と言うと、「いいよ、いいよ、それで。その代わり、シルクが売れたら少しずつ上げていってね」と即決です。で、松方さんは「撮影はどこでやるんだい?」と聞いてきた。「えっ、東京か、京都でいいのでは」と僕が答えると、松方さんは「それは違うだろ、沖縄だろ」って言う。
「沖縄? ちょっと待って。沖縄に何をしに行くんです?」「それはやっぱり、松方弘樹は太平洋の大海原でクルーザーに乗ってマグロの一本釣りだろ」。確かに松方さんの広告は夏からのスタートです。松方さんは「半袖だろ。撮影は2月か3月だから沖縄だな」と。
それで沖縄でクルーザーをチャーターし、沖合に出たんです。で、いよいよ撮影が始まりました。それが波の高い日で、松方さんのシルクのシャツは波しぶきでビチャビチャに。着替えのシャツは持って行きませんでした。写真はもうそのシャツで撮るしかなかったんです。
それでもかっこいい新聞広告ができあがった。広告掲載の初日、オペレーターさんは全員出社です。朝の9時から電話を待っていました。それが思いもよらない結果になったのです。(聞き手 大野正利)
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