日本人研究者が明かした…なんと、ハドロサウルス科どうしで「棲む環境を選んで」競争を避けた、という「驚きの事実」
環境選択により競合を避けていた!?
また、ハドロサウルス亜科の恐竜は、群れでの防御や繁殖を行っていた可能性がある。海岸近くの湿地帯の広がりが大きく、群れの大規模な移動にも対応できたと考えられるのだ。 ランベオサウルス亜科の恐竜は、内陸のより狭い地域で生活し、個体数が少なく、特定の地域での適応が必要だった可能性がある。より隠れた場所での生活をし、その結果捕食者からの回避が可能だったのかもしれない。 このような環境選択性の違いは、恐竜たちの進化と適応の過程において重要な役割を果たした。異なる環境に適応するために、ハドロサウルス亜科とランベオサウルス亜科は、それぞれ独自の形態学的および行動学的な特徴を進化させ、北極圏の厳しい気候条件にもかかわらず、どちらの恐竜も繁栄することができたのだろう。
アジアにかける橋
アラスカに棲んでいた、ハドロサウルス亜科とランベオサウルス亜科。これらの恐竜は、北米大陸に広く棲んでおり、北限はアラスカ州の北極圏にまで達していた。 現在のアラスカ州の西には、ベーリング海峡という海が存在する。ベーリング海峡でいちばん幅が狭いところでは、距離は約82キロメートル(51マイル)だ。この最も狭い部分は、ロシアのチュクチ半島にあるデジネフ岬と、アラスカのプリンスオブウェールズ岬の間に位置する。 狭いとはいえ、陸上生物が渡ることは大変困難である。北海道と本州を隔てる津軽海峡でいちばん近いところでも青森県津軽半島にある竜飛岬と北海道の松前半島にある白神岬の間で20キロ程ある。ベーリング海峡はその4倍もの距離があることになる。 しかし、今回舞台になっている白亜紀後期という時代には、ベーリング海峡は存在していなかった。その当時、この地域は海ではなく、陸地が広がっていたとされている。白亜紀後期の地質学的データによると、現在のベーリング海峡がある場所には「ベーリンジア」と呼ばれる広大な陸橋が存在し、アジアと北アメリカを結んでいた。 この陸橋は、動植物や恐竜の移動ルートとして機能していたと考えられている。つまり、理論的には、アラスカに棲んでいた恐竜たちは、アジア大陸に渡れたはずである。
【関連記事】
- 【ここから読むと、よくわかる】じつに奇抜な「トサカ」。新種の証拠にはならなかった…なんと、日本の研究チームが判明させた「アラスカの越冬恐竜の本当の名前」
- 【なぜ、アラスカ…?】有名どころなら「たくさん落ちている」恐竜化石…過酷な地にこだわる「深いワケ」
- 驚愕の新説「隕石衝突が原因で絶滅」説が「崩れる」かもしれない…なんと「北極圏で冬越し」していた恐竜の「かなり特殊な口とあご」
- 【こちらも】大量絶滅事件後に続いて訪れた「衝突の冬」…哺乳類といえども、生き抜けたのは「4つのグループ」だけだった
- 巨大サメさえ、獲物でしかない…!マッコウクジラの祖先が、じつは「海の生物を震え上がらせる肉食クジラ」だった衝撃の事実