日本人研究者が明かした…なんと、ハドロサウルス科どうしで「棲む環境を選んで」競争を避けた、という「驚きの事実」
化石資料が語る生態のちがい
これらの特徴の違いは、ランベオサウルス亜科がエドモントサウルスとは異なる生態をしていたことを示している。 また、リスコム骨密集層からは多数のハドロサウルス亜科の化石が見つかっているいっぽうで、現在のところ、ランベオサウルス亜科の化石は今回発見された上後頭骨に限られている。この研究結果は、ランベオサウルス亜科とハドロサウルス亜科の恐竜が異なる環境選択性を持っていたことを示している。 具体的には、ランベオサウルス亜科は内陸環境を好み、ハドロサウルス亜科は海岸環境を好んでいた可能性があるのだ。 アラスカ州のノーススロープ地域に露出するリスコム骨密集層は、当時海岸近くの低地で堆積したものであり、堆積物には多くの恐竜の骨、特にハドロサウルス亜科の化石が豊富に見つかっている。 そのため、ハドロサウルス亜科の恐竜は、海岸近くの湿地帯を好んでいたと考えられた。彼らは大規模な群れを形成し、豊富な植物資源を利用していた可能性がある。いっぽう、ランベオサウルス亜科の化石は非常に稀であり、今回の発見が初めてのケースとなる。これはランベオサウルス亜科の恐竜が内陸の森林地帯や高地を好んでいた可能性を示しているのではないだろうか? 同じハドロサウルス科でありつつも、恐竜たちが異なる環境を選んでいた理由は、過度な競争を避けるためだったろう。同じ地域に生息する異なる種が、それぞれ異なる生態ニッチを占めることで、食物や生息地を巡る競争を減少させることができたのだ。 エドモントサウルスといったハドロサウルス亜科の恐竜は、海岸近くの湿地帯で豊富な水生植物や軟質の植物を食べていた可能性がある。湿地帯では植物が豊富に育ち、群れでの生活に適した環境が提供されていた。いっぽうで、ランベオサウルス亜科は、内陸の森林地帯や草原で硬質の植物や高い植物を食べていたのだろう。異なる種類の植物資源を利用することで、食物競争を避けていたというわけだ。
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