こどもの疑問に“マジ回答” 「どうしたら朝、自然とスッキリ起きられるようになるの?」に専門家が本気で答えたら…
レム睡眠とノンレム睡眠
脳の研究者たちは、ノンレム睡眠とレム睡眠をどうやって見分けているのでしょうか? 睡眠研究ラボでは、目の周囲やあごなどの頭部に電極センサーを取り付けて、脳波や眼球運動、あごの内側などの筋肉の緊張度を計測して判断します。 こうした電極が感知するのは、脳波の動きです。それは振幅が低くて動きの速い波から、振幅が大きい、つまり波の振れ幅が大きく、比較的ゆっくりした波までさまざまです。目が覚めているときの脳波の波形は、小刻みに速く波打っています。しかし寝ているときはこれとは対照的に、脳波は大きく波打ち、ゆっくりとした動きになります。 ノンレム睡眠のステージ3は、すべての睡眠ステージにおいて最も大きく、最も遅い波形を描きます。反対にレム睡眠では、脳波の振幅は小さく速くなり、眼球の動きも速くなります。脳を健康に保つには、ノンレム睡眠とレム睡眠の両方のステージが必要です。その2つがあってはじめて、学習と記憶が可能になるのです。
自然と目が覚めるようになる訓練
朝、自然と目が覚めるときはたいてい、睡眠がどのステージにあるかに関係なく、その睡眠が終わりに近づいているときです。駅に停車した列車から降りるのと同じだと思ってください。 ところがアラームやほかの人に起こされると、電車がまだ停車駅に到着していないのにそこから飛び降りるようなもので、ビックリしてしまいます。だから、なるべく自然に目が覚めるのに越したことはありません。 列車が停車駅で停まるように、毎日決まった時間に自然に目が覚めるよう、脳を訓練することは実際に可能です。脳のなかには、眠気を感じはじめる時間と目覚める時間を決める24時間の脳内時計があります。これは、私たちの体に刻まれている概日リズム(体内時計)と関係があります。
毎日同じ時間に起きよう
朝、自然と目が覚めるようにするにはどうすればよいでしょうか? まずは毎晩決まった時間に就寝して、充分な睡眠時間を確保することが大切です。 夜遅くまで起きて宿題をしていたり、スマホの画面を見つめたりしていては睡眠不足となり、目覚ましアラームか、親に起こされることになってしまいます。 健康に良い時間帯に寝るようにするには、日中は体をよく動かし、コーヒーや炭酸飲料などのカフェインを含む飲み物や食べ物を控えると良いでしょう。体を動かすと脳内化学物質が増えて、眠りにつきやすくなります。反対にカフェインを摂取すると、眠くなりにくくなります。 次に、周りの光に注意を払ってみましょう。スマホ画面などから発する光を夜遅くまで見つめていると、睡眠を促す脳内化学物質のメラトニンの分泌を妨げる可能性があります。逆に、朝起きたときは光を浴びなくてはなりません。 朝の光は概日リズムを外界と同期する、つまり歩調を合わせる助けとなり、夜、眠りにつきやすくしてくれます。これをおこなう最も手っ取り早い方法は、部屋のブラインドやカーテンを開けることです。冬になるとライトボックスの光源を太陽光代わりに使って、概日リズムを調整する人もいます。 良い睡眠習慣を身につけるには、毎日規則正しく同じ時間に就寝し、同じ時間に起床して、充分な睡眠をとることです。普通、6~12歳の学齢期の子供の場合は一晩に9~12時間、ティーンエイジャーの場合は8~10時間になります。 このような睡眠の習慣を身につければ、学校の勉強で最高のパフォーマンスを発揮でき、気持ちもアゲてくれます。さらには健康的な体重も維持できるなど、身体面におけるプラス効果も多く期待できますよ。
Beth Ann Malow