「ファッションで学ぶ音楽史」 いま、最前線にいるアーティストは?
インスタグラムが登場しファッションが大きく変化
その後、SNSが世界中で普及していったが、その影響から音楽とファッションの関係はどう変化していったのだろうか。 鈴木: 2000年くらいからmixiとかあったじゃないですか。でも、どちらかというと2008年のiPhoneが出たのが、かなり大きなターニングポイントなのかなと。あとインスタグラムが2010年から始まったんですけど、日本語版が出てすごく拡散されていたのが2014年以降なので、2014年以降のファッションについての話ができたらなと思います。 あっこゴリラ:どんな感じで変化していったのでしょうか。 鈴木:SNSがなかった時代は、情報が雑誌・テレビ・ラジオなど一方的なもので、それをキャッチするのに知識とかアンテナが必要でした。2000年以降、不景気になっていきグローバリズムが加速、ファストファッションが出てきたのがiPhoneの登場と同時期なんですよね。2008年に日本にもH&Mが上陸したりして、一気に普及していったのと同時にシンプルでミニマルなライフスタイルを重視したスタイルになりました。そこにリーマンショックもあったり。そういうところで、スティーブ・ジョブズとかがアイコンになっていましたけど、シンプルなノームコアなスタイルが流行していきました。それが以前でした。 2014年にインスタグラムが一気に流行し始めてからは、さまざまな情報共有やそれぞれが関心を持っているものについて、どんどんビジュアル化していった。それにより、それまでのノームコアやファストファッションのカウンターとして、ギラギラしたゴージャスでラグジュアリーなストリートファッションが一気に出てきたと鈴木さんは話す。 鈴木:2013年にメルカリができたり、海外でもオークションサイトが続々と立ち上がって、個人間同士で物や知識をシェアできる時代が始まって、そこで古着が一気に過熱的に盛り上がってきたと同時に、先ほど言ったラグジュアリーなストリートファッションが、2014、15年から一気に加速していきます。代表的には特に日本だとBIGBANGのG-DRAGONですね。日本のファッションファンにはめちゃくちゃ刺さっていましたね。 あっこゴリラ:では、それ以降は? 鈴木:特にアメリカのヒップホップが世界的にさらに人気になり、そのファッショニスタとか、時代のアイコンになったアーティストがエイサップ・ロッキーだったり、トラヴィス・スコット、カニエ・ウェストですね。その人たちが中心になって、彼らが着たものが全部プレミア価格になったり人気になったり、一気に注目されました。アメリカのヒップホップアーティストたちを中心にオーバーサイズでラグジュアリー、かつ過去の名作をミックスしたスタイルが時代の最先端のスタイルになって注目されていきました。ブランド的にはラフ・シモンズや、日本の裏原から出てきたナンバーナインとか、アンダーカバーとか、90年代のデザイナーズファッションの中心と言ってもいいメゾン・マルタン・マルジェラ(現:メゾン マルジェラ)などの過去のアーカイブをミックスして、ラグジュアリーストリートのファッションを確立したのが、アメリカのヒップホップアーティストですね。