「ファッションで学ぶ音楽史」 いま、最前線にいるアーティストは?
2000年代後半のヒップホップファッションはかなり重要
80年代は特にヒップホップが隆盛する時代となり、オールドスクールのヒップホップで言えばラン・ディーエムシーやパブリック・エネミーなど、スポーツファッションを取り入れたスタイルやオーバーサイズなスタイルが特徴的で、今でもストリートに影響を与えている、と鈴木さんは言う。 あっこゴリラ:ダボダボな感じがずっとかわいいなって。自分が思春期に影響を受けたファッションって、大人になってもかわいいなって。 鈴木:今、まさにダボダボなファッションがトレンドですからね。 あっこゴリラ:では90年代は? 鈴木:その頃はグランジのスタイルですね。主にニルヴァーナのカート・コバーンがかなりファッションアイコンになっていて。グランジのスタイルで言うといわゆる汚れたスタイル、ボロボロな古着を重ね着するようなスタイルで、毛羽立ったネルシャツだったり。 あっこゴリラ:毛羽立ったね(笑)。 鈴木:80年代がどちらかというと、ゴージャスで装飾性の高い、高価なスタイルからのカウンターカルチャーで、「汚れていたりボロボロでもかっこいよね」という流れになった。その中心がカート・コバーンやニルヴァーナなのかなって。 あっこゴリラ:社会背景も影響していますよね。80年のほうが景気が良くて、90年代になったら(景気が低迷していくので)、音楽もそのカウンターになって、ファッションもそれにひも付いていくっていう。 鈴木:89年から91年にかけての世界的な大きな変化や不景気、日本ではバブル崩壊など情勢も不安な時代だった。カウンターで古着の文化とか、若者のユースカルチャーが一気に広まったのかなと思います。 続いて、2000年代は今でも通じるものもありつつ、ヒップホップが中心になっていったという。 鈴木:今でも活躍しているファレル・ウィリアムスとかカニエ・ウェストとか、かなりヒップホップのスタイルが進化してきて、どちらかというと普通のBボーイというよりは、裏原宿ファッションをミックスしたようなBボーイのスタイルが隆盛してきて。2000年代後半のヒップホップのファッションはかなり重要だと思っています。 あっこゴリラ:それを考えると東京のストリートファッションってオシャレですよね。ずっと世界にずっと影響を与え続けている発信地なんなだって。 鈴木:特に90年代の裏原宿カルチャーに関しては、ヒップホップのスタイルに影響を与えているので、アーティストは裏原宿のデザイナーを神のようにリスペクトしていると思います。