禍を転じて福と為す!? 「1000円の壁」崩壊で「具なしラーメン」が新トレンドに
「引き算の美学」
原材料費や光熱費の高騰で、ラーメン1杯の価格は上昇中。都心では1000円超えが当たり前となり、チャーシューや味玉を追加すると1500円台に達する店も珍しくない。 【全14枚!】美味そう! シンプルだからこそ職人の腕が問われる「ミニマルラーメン」 こうした中で注目されているのが、ネギなど最小限の薬味しか乗せない、あるいは真に麺とスープのみで提供する「ミニマルラーメン」だ。 スペシャリテとして開発したスープを、自慢の麺と合わせる。シンプルだからこそ職人の腕が問われるメニュー。「本当に美味しいラーメンを届けたい」という職人の想いが、この一杯に凝縮されている。さっそく、注目のミニマルラーメンを紹介していこう。 ◆エッジの立った麺線が美麗な鶏醤油スープに映える!/らぁ麺やまぐち(東京・高田馬場) まず、ミニマルラーメン醤油部門で注目したのが、西早稲田に店を構える『らぁ麺やまぐち』。’13年の創業直後に「東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー(TRY)」の新人賞を受賞し、さらに6年連続でミシュランのビブグルマンに選出。高田馬場~早稲田というラーメン激戦区をフロントランナーとして走り続ける名店だ。 看板メニューの「鶏そば」(1220円)は、会津の地鶏をふんだんに使い、羅臼昆布の出汁を組み合わせたスープが、繊細さと力強さを両立。麺は京都の「麺屋棣鄂」と共同開発。しなやかさに加え、伸びにくさと食べ応えを追求している。タレには「香りを付けた醤油」「生揚げ醤油」「たまり醤油」の3種を使用。香り高く奥深い味わいを実現した。 店主の山口裕史さんはチャーシューに葛粉をまぶして、ツルン&プルプルの食感を醸し出す製法を業界で初めて導入するなど、具材の研究にも余念がない――しかし、自信を持って推すのは「かけそば」。ご覧の通り、珠玉の鶏スープと、麺のみのミニマルな仕上がり。ノーマルな「鶏そば」からはアンダー290円。 「鶏そば本来の味を知ってほしい」という想いで作られたこのメニューは、「麺:スープ」というラーメンの最小単位に焦点を当てている。シンプルだからこそ、鶏のうまみ、醤油のアロマ、そして麺の食感が一体となり、ラーメンの本質をストレートに伝える一杯なのだ。 『らぁ麺やまぐち』の真髄は、まさにこの「麺とスープ」の調和にある。トッピングをなくして、ダイレクトに感じる味わい。最後の一滴までスープを啜りきりたくなる、スペシャルな食体験がある。