アタマの良い人が必ず実践している、絶対に身につけるべき「ぶれない思考力」を手に入れる方法
先行きが見えない「答えのない時代」を生きる私たちにとって、「自分の頭で考える力」は必須です。でも、何をどのように考えれば良いのか、どのように勉強すれば良いのか、具体的な方法がわからない人も多いでしょう。 【写真】アタマの良い人が必ず実践している、絶対に身につけるべき「ぶれない思考力」 気鋭の哲学者・山野弘樹氏が、自分の頭で考えて学びを深めるための方法=「独学の思考法」をわかりやすく解説します。 ※本記事は山野弘樹『独学の思考法』(講談社現代新書)から抜粋・編集したものです。
価値観をめぐる問い
さて、(1)~(3)の問いは「判断の普遍性」を、そして(4)~(6)の問いは「判断の具体性」をめぐる問いでした。残りの(7)~(9)の問いは、「判断の前提」となる「価値観」をめぐる問いです。 C【判断の前提となる価値観を探究する問いのパターン】 (7)「なぜ相手の主張に共感できないのか?」 (8)「なぜ相手の主張に共感できてしまうのか?」 (9)「相手の主張と自らの主張との間に共存可能性があるか?」 私たちはよく「理解することはできるが、納得することはできない」、「理屈は分かるが、共感はできない」という感覚を覚えることがあります。人間の頭は、全部が全部ロジックで動いているわけではありません。 理性のレベルでは相手の主張の妥当性を理解できるのに、感情のレベルでは相手の主張に納得することができないという場合、価値観が私たちの心を規定している可能性があります。「価値観」とは、私たちのものの見方や、ものの感じ方を規定する判断基準の集まりのようなものです(「世界観」、「人生観」、「人間観」などもこの中に含まれているものとします)。 そして、こうした価値観を吟味・検討することができないと、私たちは感情の波に思考を搦からめとられてしまいます。「自ら思考する力」を鍛えるためには、感情のノイズの中でもぶれない判断能力を獲得する必要があるのです。 そこで必要なのが、上記の3つの問いです。7つ目と8つ目の問いは、相手の主張に共感できるか否かの理由を問うものです。もちろん、相手の主張の妥当性が(普遍性ないし具体性の観点から見て)低いという理由から共感できないのであれば、殊更にこの問いを提出する必要はありません。 問題なのは、(7)「相手の主張の筋が通っているにもかかわらず、共感できないとき」と、(8)「相手の主張の筋があまり通っていないにもかかわらず、共感できてしまうとき」の2つです。