最新の「赤字法人率」、過去最小の64.8%に低下 最小は佐賀県、コロナ禍が地域や業種の明暗分ける
地区別 9地区すべてで改善
地区別では、9地区すべてで前年度よりも赤字法人率が改善した。 赤字法人率が最も低いのは北陸の62.6%(前年度63.9%)で、唯一の62%台だった。次いで、北海道63.4%(同64.1%)、近畿63.9%(同64.55%)、九州64.3%(同64.52%)の順。最も改善幅が大きかった北陸(63.9%→62.6%)は、赤字法人率が前年度から1.3ポイント低下した。 赤字法人率の最大は、四国の67.9%(前年度68.0%)だった。
産業別 建設業を除く9産業で改善
産業別の赤字法人率では、最大が小売業の71.3%(前年度71.9%)だった。次いで、製造業の68.0%(同69.0%)、農・林・漁・鉱業の67.50%(同67.54%)の順。 赤字法人率が悪化したのは、建設業の前年度比0.9ポイント増(59.5→60.4%)のみだった。建設業は3年連続で赤字法人率が上昇している。 赤字法人率が改善した9産業のうち、最大の改善は卸売業の同1.7ポイント減(64.7→63.0%)だった。卸売業のなかでも「鉱物、金属材料」は同3.4ポイント減(51.4→48.0%)と大幅に改善したが、「医薬品、化粧品」は同0.2ポイント増(66.5→66.7%)と唯一増加した。 ◇ ◇ ◇ 2022年度の赤字法人率は64.8%で、年度集計となった2007年度以降の16年間で最小を更新した。コロナ禍当初の2020年度は10年ぶりに赤字法人率が悪化に転じたが、コロナ関連支援効果もあり、2021年度と2022年度は連続して改善した。ピークのリーマン・ショック後の2010年度(75.7%)と比較すると、2022年度の赤字法人率は10.9ポイント低下し、事業者の経営が徐々に改善してきたことがみて取れる。 ただ、2023年度以降はコロナ関連支援の縮小・終了が進むうえ、円安や物価高、コロナ禍前から深刻だった人手不足に伴う人件費の高騰など、事業者の収益を圧迫する問題も深刻化している。 赤字法人率の上昇が倒産増に直結するわけではないが、経済状況の判断には重要な指標であり、地域や産業ごとの数値の変化も含め、引き続き注意を払っていく必要がある。