米大統領選前の株安、トランプ候補は望むところ!?…“もしトラ相場”を乗り切るための「投資行動」とは【マクロストラテジストの見解】
米大統領選を前にささやかれるトランプ政権の復活。世界経済への影響を考慮すると、ボラティリティの高まりは想像に難くありません。では、こうした不確実性の高まる“選挙相場”において大切な資産を守るためには、どのような行動が求められるのでしょうか。前回のトランプ政権時の経済政策を振り返りつつ、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が考察します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
どうなる!? 米大統領選のゆくえ
バイデン氏が撤退を表明、ハリス氏を後継候補に推薦 既報のとおり、米国の大統領選挙では、バイデン大統領が撤退を表明し、ハリス副大統領を後継候補として推薦しました。これを受け、ハリス副大統領は立候補を表明しました。 新たな民主党候補になるのはハリス氏になる可能性が高いと見られます。 その理由は、(1)8/19~22の民主党全国大会でバイデン氏に票を投じる予定だった代議員は「バイデン/ハリス選対」に承認された人たち(≒忠誠を誓った人たち)であり、(2)バイデン以外の候補者は知名度が低く、時間的にもいまから(トランプ氏と戦うための)巨額の選挙資金を集めることは困難であり、(3)候補として名前が挙がる候補者たちの一部や民主党の幹部はハリス氏への支持表明をしているためです。 Real Clear Politicsの全米世論調査集計によれば、「ハリスvs.トランプ」(トランプ+2.0)のほうが、「バイデンvs.トランプ」(トランプ+3.0)よりも差が縮まります。 [図表1]は激戦州を含む状況です。ただし、世論調査は当てにならないことに留意が必要です。
7/15週の“ほぼトラ相場”が示唆すること
[図表2]に示すとおり、7/15週の1週間は【オレンジの棒】、米国の半導体株式や大型テクノロジー株を中心に、比較的大きな動きとなりました。 ただし、7/15週の値動き【オレンジの棒】を、インフレ懸念と利下げ後ずれ懸念が高まった4/15週【青の棒】と比べると、(1)下落は小さく、(2)上昇しているセクターも確認できます。 また、あらためて全体を眺めると、(3)バリュエーションの高いものほどボラティリティが大きいことがわかります。逆に、たとえば、米国の小型株式は流動性や業績の面でリスクが相対的に高いようにも思えますが、最近のこうした調整局面での変動幅は限定的です。 上昇にせよ、下落にせよ、たとえば、今後の「ほぼトラ相場」によって、こうした状況が継続する場合、変動性の大きさ(≒リスク)を嫌う投資家の方は、既存の大型テクノロジー株式への投資に加えて、それら以外のセクターへの分散投資が望まれます。
【関連記事】
- 米大統領選「バイデン辞退」の一部報道で予想はますます困難に…大統領候補が「辞任」または「逝去」すると選挙はどうなるのか【マクロストラテジストの見通し】
- 「1ドル160円台」をひた走るドル/円だが…過去2年連続で7月に勃発している「米ドルの下落」は、今年も繰り返されるのか【国際金融アナリストの考察】
- 日本企業の利益創出は“米国に負けず劣らず”だが…TOPIXとS&P500にある“決して埋まらない差”の正体【マクロストラテジストの見解】
- 【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが注目…7月第3週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」
- 当確点灯?からの「トランプトレード」発動(“賞味期限”にはご注意ください)【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】