Skateboarding Unveiled vol.12 ~ストリートとパーク~
フォトグラファーの多様化
スケートボードが世の中に広く認知されたのは東京オリンピック。 これに異論がある人はいないだろう。 それに伴い、最近はスケーターを撮影するカメラマンも多様化してきたと感じている。ではどう多様化してきたのか。今回はそこを2タイプに分け、特性を分析していきたいと思う。
ストリートとパーク
最もわかりやすいのが撮影ロケーションにおける分類だ。ストリートとパークに分けると、二極化ともいえる現状があると思っている。ただ気をつけていただきたいのが、オリンピック競技種目の「ストリート」と「パーク」ではないということ。 ここでは、社会に存在する皆が共有している公共空間としてのストリート(そもそも滑るべきではないという主張は、今コラムでは置いておく)と、スケートパークという意味でのパークを指す。 この2つは撮影場所もシチュエーションも大きく異なるので、カメラマンの特性も大きく異なってくるのだが、ストリートは、ほぼ100%の確率でカメラマン側もスケートボーダー。より専門的で尖った芸術家タイプが多く、後者のパークはスケートボードをスポーツのひとつとして撮影しており、マスに向けた写真を撮る商業家タイプが多いと感じている。 多くの方がよく目にするのは、間違いなく後者だろう。今やX GAMESなどの国際大会はもちろんのこと、全日本選手権にも多くのマスメディアが駆けつけるようになったし、優勝者が囲み取材を受ける光景も決して珍しいものではなくなった。ただこういったコンテストを撮影するフォトグラファーは、実はオリンピック種目になって以降増加した後出の部類になる。 ただ今はそこから発展して、アクションスポーツ(アーバンスポーツ)フォトグラファーと名乗る人も増えてきているように感じるので、そういったところからも社会的認知度が上がったと感じている。
求められるのは即時性
このパークという区分におけるカメラマンの仕事の特徴は即時性が求められるところだろう。1日何千枚という写真を撮って、そこからいかに素早くセレクト・編集するか。撮影から納品までの効率的なワークフローが重要なファクターを占めている。そのためイベントフォトグラファーと言い換えることもできるだろう。 ただそれはどんなスポーツでも同じこと。スケートボードの世界においてストリートの撮影と決定的に違うところは、自分の狙ったアングルで撮影できるかどうかにある。 コンテストは当然自由に撮影はできない。オフィシャルカメラマンで入っているならまだしも、外部からメディアとして取材に入る場合、大概は指定されたわずかな取材エリアでしか撮影できない。そうした限られた条件の中で納品レベルの写真を数多く撮影できるかが重要になってくる。 さらに選手のトリック写真はもちろんのこと、その裏には多くの喜怒哀楽が詰まっているので、そういった要素も踏まえて全体をドラマのように記録できるかも大切だ。そうすることでトリック写真の価値も上がってくるだろう。 またこういった条件下では必然的に納品枚数が多くなってくる。その分一枚に対する比重は低くなるので、言い換えればそこまでスケートボードの知識が深くなくてもこなせるが、スケートボードを知ってるだけでもこなせない多方面でのスキルが必要になるのが特徴であると思う。社会に認知されてきた分、社会性のある仕事(=商業写真)が加味されたのがパークで写真を撮る人物に求められていることだとも思う。今の自分は、こちらの仕事をこなすことの方が多い。