Skateboarding Unveiled vol.12 ~ストリートとパーク~
一枚の芸術の追求
対してストリートでの撮影は、人数でいえば今は少数派ではないかと思う。そのため、これから述べることに対して理解を得ることは難しいかもしれない。そういう方も”双方を比べた違い”という観点だけで捉えていただけたら幸いだ。 そこを一言でいうなら「一枚の芸術の追求」になると思っている。ストリートは基本的にどこで何をやるのも自由(もちろん他人に迷惑をかけてはいけないという前提のもとで)なので、場所だけでなく時間帯や季節、時間帯にまでこだわった絵作りをするケースもあるし、カメラマンから見ても、アングルはもちろん使うレンズやライティングも、基本的に自らの好きなように組み立てることができる。 だからこそ撮影する側も楽しく、スケートボーダー側も撮れた時はコンテストで優勝した時と同じくらい嬉しいと多くの選手が語っている。プレイヤーとクリエイターの共同作品作りというとわかりやすいだろうか。 そういった条件下であれば、当然コンテストほど多く撮影することはないし、プレイヤーと1対1でトリックを撮るなら、多くても数十枚だろう。一枚に対する比重がコンテストよりも格段に重くなるのが特徴だ。 しかも共同作業になるので双方でしっかりとコミュニケーションをとる必要があるだけでなく、スケートボードの専門知識やライティング技術も身につけておかなければならない。 撮影後のレタッチも含め、時間を費やして1枚の写真を仕上げる。そこにオリジナリティや個性も加味してオンリーワンに仕上げていくのがストリートの撮影であり、こういった写真がスケートボードブランドの広告として専門誌やホームページに大々的に掲載される。 これはオリンピック競技に採用されるはるか前からずっと行われ続けてきているものなので、現在ストリートをメインに活躍しているフォトグラファーは、少なからず過去のそういった創造性ある写真のカッコ良さに魅かれてキャリアを歩み始めた人が多いのではないかと思う。かくいう自分もその1人だからだ。