人口863人、テキサス州の小さな町にビットコインマイニングがもたらした恩恵──ドキュメンタリーの監督に聞く
「良き隣人」
──ギャラクシーはまた、町の市民プールを再開する契約を結んだ。このような投資はビットコインマインイング施設では一般的なのか? ビットコインマイニング施設ではよくあることだ。市民プールの話は他でも聞いたことがある。地域の公民館を修理した会社の話も聞いたことがある。 テキサス州ロックデールでビットコインマイニング施設を運営するライオット(Riot)は、地元のソフトボールチームに資金を提供している。なぜなら、このような小さな町に引っ越してきたら、良き隣人にならなければならないからだ。 それがどのようなものなのかを学ばなければならないが、企業としてちょっと難しいことかもしれない。他の多くのテックや金融のビジネスとは違って、何世代にもわたって同じやり方を続けてきた小さな田舎町でビジネスを展開している。地域社会に溶け込む最も簡単な方法は、多くの場合、何か実践的なことをすることだ。 もうひとつ映画で触れられなかったことは、スプールは多くの低所得地域と同様、麻薬問題の温床だということだ。我々は、麻薬は都市部の問題だと考えがちだが、まさに地方の問題だ。 希望もチャンスもあまりない。スプールで生まれた多くの人がラボックやオースティン、ダラスに移っていく。スプールに残った人たちは、ときに取り残されたように感じることもある。ある意味、町民プールは象徴だ。このテック企業は地元の人々を大切にしていることを示している。 ──騒音公害を心配している人に話を聞いたか? この地域では聞いていない。空調装置をいくつか配備する予定なので、それが今後の課題になるかもしれない。 しかし今のところ、施設はすべて液浸冷却を採用している。私の知る限り、北米最大の液浸ビットコインマイニング施設だ。液浸マイニングのいいところは、基本的に静かなことだ。 マイニング施設自体も、住宅地からかなり離れた場所にある。スプールの町から10マイル(約16km)ほど離れている。どこに行くにも車で20分はかかる。だから私の知る限り、騒音に対する苦情はないはずだ。 ──最後に一言あれば。 この映画や、我々が行っている他の仕事を通じて、人々が既成概念にとらわれず、町がどのようにビジネスを誘致できるか、また、これらの企業がどのように地域社会に貢献できるかについて考えるきっかけになることを願っている。 ギャラクシーはその点で、本当に良い仕事をしたと思う。プール再開によって彼らは約束を果たし、みんなが飛び跳ねたり、水しぶきを浴びせ合ったりすることになるだろう。映画の中でもそう言っていたはずだ。この夏、プールで水しぶきが上がらないなら、ギャラクシーは失敗したということになる。 ビットコインマイニングは、地域社会にとって、より重要な話題になっていくと思う。もしビットコインマイナーが小さな町の中でビジネスのバランスを取る良い方法を見つけなければ、問題が増えるだろう。小さな町は嫌だと言っても構わないのだから。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:ギャラクシー・デジタルのマイク・ノボグラッツCEO(Will Foxley/The Big Empty)|原文:Bitcoin Mining’s Boon for Small Town America
CoinDesk Japan 編集部