「たいしたことない」人がエリート相手に戦う方法【里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!】第15回
■実績を残すための「3つの視点」 里崎 だから僕はノンキャリア組だし、軽自動車だけど、WBCで優勝して世界のベストナインに輝いて、クライマックスシリーズで3位から日本一になって、交流戦で2年連続優勝して、雨の中で満塁ホームランを打って......。そんなオプションでここまでやってきたけど、実際に中身を調べてみたら、そんなにたいしたことがないってこと(笑)。 五十嵐 そんなことを言ったら、僕だってすごい成績を残しているわけじゃないし、中身を見たら「実は五十嵐はあんまりたいしたことないな」って思われていますよ。 里崎 僕は2000安打どころか、1000安打も打っていない。だから、「野球にかけて、890(ヤキュウ)本で引退したんです」とか、「煩悩の数だけホームランを打ったので引退しました。除夜の鐘を打つときには僕のことを思い出してください」って、今ではネタにしているけどね(笑)。 五十嵐 新春早々、サトさんのことを思い出すのはイヤだな(笑)。さっきも話題に出たけど、サトさんが考える「エリートの倒し方」って、例えばどんなことですか? 里崎 いろいろな方法があるけど、「自分の無力さを知ること」「王道にこだわらずに、自分流を磨き抜くこと」「小さなことにこだわらないこと」「常に3つの視点で見ること」という感じかな。現役時代から考えてきたことを今でも大切にしているし、それはサラリーマンの人にも役に立つ考えだと思うけどな。 五十嵐 今言った、「常に3つの視点で見ること」というのは、具体的にはどういうことですか? 里崎 ひとつ目は自分から外を見る視点。ふたつ目は外から自分を見る視点。そして3つ目は野球選手なら監督の視点、サラリーマンならチームリーダーや経営者の視点で物事を見ること。その3つの視点から、「自分はどう動けばいいのか、どう動いているのか?」を客観的に見ることが大切だと思うな。 五十嵐 自分だけの視点だと自意識過剰になったり、自分を甘やかせたりするから、客観的な「外からの視点」が大切なのもわかるけど、3つ目の「チームリーダーの視点」も必要だということですか? 里崎 結局、野球選手にしてもサラリーマンにしても、監督や経営者が自分に何を望んでいるのか、どんな役割を果たすべきなのかを知っていないと、決していい成績を残すことはできないから。あえて上司の視点に立つ。それはつまり、エリートの視点に立つことでもある。そうすれば、エリートの人たちに無いもの、彼らよりも勝っているものも見えてくるんじゃないのかな。