塩崎恭久・厚労相に聞く(全文3完)あらゆる人を受動喫煙から守りたい
たばこの増税や自販機設置禁止をどう考えるか
──たばこの自販機の設置の禁止についても財務省に要請をされていた。自販機をなくしたり、たばこを増税したりということは、受動喫煙をなくすことに、間接的に寄与すると思うが、たばこの販売が抑えられれば税収が減るという側面もある。受動喫煙対策や、たばこ抑制政策と税収のバランス、その辺はどう考えているか たばこ規制枠組み条約、FCTCというのがありまして、日本はこれを批准している国なのです。そこには、自動販売機は、宣伝広告と同じ機能を持っているわけで、そういうこと(自販機の設置の禁止)が示されています。したがって、当然、我々としては自動販売機もやめていただきたいということで、国会でも答弁しましたし、これは事務方から財務省にもその旨は既に伝えてあるわけであります。 たばこ税の問題については、ご案内のように、日本は今、私最近吸わないから昔吸ってましたから、よくわからないけれども、自動販売機とか見てみると、430円とかそんな値段ですけど、ほかの国はみんな1000円を超えているといいますよね。それはやっぱり税金がかかっているんだろうというふうに思います。 飲食店の売り上げも、規制の前後で変わっていないのが海外の例であるように、実は、その禁煙措置をとった前後での喫煙率のトレンドへの影響、見てみると、各国トレンドは変わっていません。したがって、税収も、増税するかどうかは別ですけれども、ほっといたら、この受動喫煙対策をやっても税収に影響が出るということは、ほとんどないというふうに(思います)。 過去の外国の例を見ると、喫煙率は変わっていませんから、変わっていないというか、トレンドが変わっていない、大体どこの国も徐々に下がってきていますから、そういうことなので、税についても、ほかの国がどんどん上げてきているのは、やっぱり健康被害のことを考えてやっていらっしゃるんだろうと思いますので、そういうことを我々も同じように考えなければいけないんだろうというふうに思います。 ──吸いたい方というのは、権利として吸う権利があるという話もある。受動喫煙をしない権利というのもある。その部分のバランスというのはどう考えているか これはですね、憲法13条に、幸福追求の権利というのが示されているから、個人がたばこを吸うこと自体は、みずからの幸福を追求するという権利の一つだろうと思うのです。ですから、我々は、たばこを吸うこと自体を禁止しようなんていうことは言っていない法律をつくろうとしていたわけです。 一方で、憲法13条は、この幸福追求の権利というのは、公共の福祉に反しない限り一人一人の幸福を追求していい権利があるということになっているので、公共の福祉に反するかどうかというのは、科学的に証明されている受動喫煙の被害、これは公共の福祉に反しますから、これに反するような吸い方であれば、これは禁止をしないといけないんじゃないか、なくすようにしないといけないんじゃないかというのが私たちの考え。 厚生労働省は命と健康に責任を負っていますから、子供であろうと、妊娠をされている女性であろうと、がんの患者であろうと、あらゆる人のためには、こういう望まない受動喫煙は全てなくすと、例外なくなくすということが大事なんだろうと思うのです。 ──その点で、自民党と折り合いというか、合意できそうか どういうやり方をすれば受動喫煙を排除できるのかということについて、(自民党は)外に喫煙店という表示をすればいいじゃないかといっていますが、自分の意思だけで皆さん居酒屋さんに行くわけじゃなくて、送別会でみんなで行きましょうといったところが吸えるところだったら、例えば、病気と闘っているけれども、黙って闘っているときには自分の意に反していかざるを得ないわけですね。 係の送別会とかに行かざるを得ない、私だけ行きたくありませんというわけにはいかないということもあるし、お仕事で営業しているときの相手方が行こうといったときのお店が吸える、こういうことがあるのです。 したがって、表示をしただけでは、自分の意思でそこを拒否するということができないときが間々あるということなので、こういうときには、受動喫煙は排除し切れない。お店自体を原則喫煙禁止ということでいかないと、我々としては合意できないということだと思うのですね。科学的に考えてみて。 ──本日はありがとうございました ありがとうございました。