〈世界トップクラスの観光受け入れ地・京都〉混雑軽減やマナー啓発では足りない、オーバーツーリズム対策の視点とは?
他の地域が学ぶこと
現在、日本政府は観光客の地方誘客を重視している。地方にバランスよく観光客を誘致するのはきわめて重要である。ただし、それまで多くの観光客を受け入れた経験の少ない地域にいきなり観光客が押し寄せたらたちまちオーバーツーリズムになるリスクが高い。 オーバーツーリズムを「キャパシティ以上の観光客が押し寄せる」が定義とすれば、地域の観光受け入れキャパシティが仮に1000人で1500人が来れば”オーバー“になる。いったん観光客に対してネガティブになった地域住民感情は、観光客数の制限や平準化といったこれまでの対策だけではポジティブにならない。 「観光客が及ぼす悪影響に対して地域が十分な利益を得られていない状態」という定義で、いかに地域住民に観光の利益を還元するかというベネフィットデザインが重要になってくるのである。 京都のDMO(ディスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション)は日本でもトップクラスの観光マネジメント組織であり、観光先端地域としてさまざまな対応施策を今後も行ってゆくと思われる。そこから他の地域が学ぶことは多いだろう。
池上重輔