好奇心に突き動かされるように歳を重ねたい。俳優・木村多江さんのスタミナ哲学
バイタリティ溢れる人には疲れないカラダを保つ秘密がきっとあるはず。今回は、芸能界の第一線で活躍し続ける木村多江さんに、スタミナの哲学を聞きました。 [画像]木村さんの心身を育むスタミナ習慣
人生を楽しむには好奇心とスタミナがあってこそ
俳優としてのキャリアは30年以上、出演したドラマ・映画は優に100作を超える木村多江さん。Netflixドラマへの出演など活動の幅を広げ、存在感は増す一方。 多忙なのは想像にたやすいが、25年以上前に始めた日本舞踊は“好き”が高じて今や師範(指導者)。語学勉強に、野菜ソムリエの資格を持つなど、おっとりと可憐なイメージからは意外なほど活動的。スタミナにも自信あり? 「上には上がいます(笑)。先日ご一緒した北大路欣也さんは、撮影の待ち時間も座らないで周りの方とずーっと歓談されていて。『九十歳。何がめでたい』主演の草笛光子さんには、撮影終わりに“また次も楽しい作品でご一緒しましょうよ!!”と言っていただきました。この業界の第一線で長く活躍されているのはスタミナが強い方ばかりです」 無論、木村さんもその一人。ハードな現場を幾度も乗り切れたスタミナの秘訣は、10年以上続けている運動習慣と食生活にありそう。 「2人のトレーナーに師事してトレーニングをしています。着物を着る機会もあるので筋肉はあまり大きくできませんが、インナーマッスルを中心に鍛えて軽やかに動けるように。年々筋肉量を保つのが難しくなってきているので、トレーナーに指導された通り、毎日40回のスクワットに励んでいます。 週1回は日本舞踊のレッスンにも行きます。あとはやっぱり食事も大事! 食こそがカラダと心を作ると信じています。撮影が続くと“ロケ弁生活”になる分、家で食事できる日は野菜をたっぷり使いスープや鍋などを作ります。毎日推奨量の野菜を摂るのはなかなか難しいので、摂れる日に摂れればOKと思っているんです」 木村さんにとって心身をタフに保つモチベーションは何だろう。 「103歳になる数日前まで生きた祖母の影響が大きいですね。祖母がとにかく好奇心旺盛で! 91歳の頃にホエールウォッチングをしたいと言い出して沖縄に家族で行きましたが、私含め皆が船酔いでぐったりするなか、祖母だけは“あら~鯨!!”と大歓声(笑)。 私も好奇心が強くて、興味があることはとことん追求したい方。俳優業では主役よりも“いい役者”に憧れます。何歳になってもやりたいことを楽しんだ祖母のように、私も好奇心に突き動かされるようにして歳を重ねていきたいです」
取材・文/門上奈央(初出『Tarzan』No.884・2024年7月18日発売)