大人数の意見に対して、自分の意見を言うのが苦手だと話す33歳女性に、鴻上尚史が伝えた「ストレスがたまった時こそ能動的に活動する」の真意とは
「人間相手にグチを言う」ということをストレスの発散にしていると、こういうケースが起こるのです。これが、彼女が初日の前でなければ、何の問題もなかったのです。朝まで彼のグチを聞き、なぐさめ、愛を深めればよかったのです。 でも、なんとかの法則ではないですが、「今、来ないで」と思う時にグチる人は来て、「今、来て。今、暇。今、元気」という時には、なかなか、グチる人は来ないのです(笑)。 ですから、僕は、俳優に「人間以外でストレス発散できる方法を見つけた方がいいよ」とアドバイスするのです。 それは、ぽんぽこりんさんが書いているような「ネトフリで映画を観たり、漫画読んだり」するより、もっと能動的な方法です。 気分転換には、これで充分ですが、激しいストレスを感じて、激しくグチりたい時には、もっと能動的な活動でないと、気持ちは収まらないと思います。 「楽器を演奏する」「絵を描く」「ダンスレッスンを受ける」「エッセーや小説を書く」「筋トレをする」なんて、とにかく能動的、積極的に参加することで、ストレスは少しずつ減っていくんじゃないでしょうか。 ですから、ぽんぽこりんさんにも、とにかく一人で能動的にできることをお勧めましす。「自分宛にLINEで嫌な気持ちを吐いてみる」というのは、悪くない方法だと思います。ですが、もう一歩進んで、「エッセーを書く」なんてのもいいかもしれません。 ちなみに、僕は、本当に辛い時は、「発表するあてのない小説」を書いてきました。小説に熱中している間は、とりあえず、ストレスを忘れ、心穏やかでいられるのです。 さて、ぽんぽこりんさん。 「大人数ですごしているときに『ノー』と言える力を身につけたい」ということに関しては、ふたつ、アドバイスがあります。
ひとつは、先月15日配信の【相談236】の「ダメなことを、『ダメ』と他人に言うことができません」という相談の回答を見て下さい。 「ノー」と言えなかった時に、もう一回、そのことを思い出して、イメージトレーニングを積むことで慣れていく方法と反論するための「時間稼ぎ」の言葉を紹介しています。 それとね、ぽんぽこりんさん。 その場の空気に負けて、多数決に従うというのは、日本人の強い特性だと僕は思っているのです。 どうして、なかなか「ノー」が言えないのか。どうして人の頼みは断りにくいのか。どうして波風立てることを避けようとするのか。それらはすべて、日本の文化の根本である「世間」に原因があると僕は思っています。 それはどういうことなのか、だったらどうしたらいいのかを分かりやすく書いたのが『「空気」を読んでも従わない 生きる苦しさからラクになる』(岩波ジュニア新書)です。 人生相談の回答で自分の本を紹介しないでと、ちょっとイラッとしたかもしれませんが、すみません。でも、この本には、ぽんぽこりんさんの「大人数の前で『ノー』と言えない」理由が書いてあるのです。そして、その対処法も。 ですから、もし、興味があったら、読んでみて下さい。お金がもったいなかったら、図書館ででも、古本でもいいです。とにかく、この本がきっとぽんぽこりんさんの現状を変えるきっかけになると僕は思います。 ぽんぽこりんさん。どうでしょうか? 【鴻上さんへの相談、募集中!】あらゆる人間関係、組織のなかで、相談者の身に起きている困ったこと、身動きのとれない境遇、逃げ出したい状況など、すべての悩める事態に鴻上尚史さんが答えます。ぜひ、あなたの悩みをこちらからご投稿ください。※投稿に当たっては、注意事項を必ずお読みください。
鴻上尚史
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